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 腕を構えたゲートキーパーの全身が輝きだし、マチカゼの視界を白く染めた。
 キィィィ、と音がしてチャージが始まる。
 音がやむと激しい光の奔流がほとばしった。
 それなのにゲートキーパーの近くにいたハルイロやシルヴィアには大きなダメージはない。
 オメガが自らの身体を盾にして二人が自分の影に入るように庇ったのである。
 少女の小さな身体がノーバウンドで10メートル以上吹っ飛び、あわや壁に激突かというところで、キムさんが彼女の身体を受け止めた。
 オメガのフルプレートの甲冑の隙間から鮮血が湧き水のように流れ出ていく。
「オメガァ」
 仲間の声にも彼女の身体は反応しない。
「そ、んな……」シルヴィアの手から弓がこぼれ落ちた。
 膝が折れ腰が砕け、床に四つんばいになりシルヴィアはぼそぼそと何かを呟く。
「キムさん、オメガを。ハルイロ、シルヴィアを頼むさ」
「マチカゼ、お前は一人で戦おうってのか?」
「ああ、こいつはここで俺っちがぶっ潰すさ」
 激昂するマチカゼは凄まじい速さで駆け抜け、巨人の薙ぎ払われる大腕を跳躍して咆えた。
「はあぁぁー」
 シルヴィアが攻撃を二度当てた箇所に全力の大上段からの一撃を加える。
 ピシリ、とゲートキーパーの外部装甲にヒビが入るが、マチカゼの剣はその代償に折れ、切っ先がマチカゼの頬を切り、遥後方へと回転しながら飛んでいった。
 マチカゼは折れた剣を放り出し、腰にさした鍛錬用の鉄鞭を振りかぶり、
「応力集中って知ってるか?」不敵に笑い、フルスイングした。
 ゲートキーパーの装甲が割れ、内部回路がスパークする。
「自律回路ニエラー発生。コレヨリ自爆シマス」アラート音と共に機械音声が鳴り響く。
 マチカゼは爆炎に飲み込まれた。

 追記にて、
 有里さんに返信コメントがあります。

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09/12|世界樹の迷宮3コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 青白く輝く何かがゲートキーパーの側頭部に命中した。
 その衝撃はかなりのものだったらしく、ゲートキーパーの巨体が倒れ込む。
 なんだ今のは?
 光がやってきた方を振り返るとシルヴィアがいた。
 彼女は膝に手を置き、肩を上下させながら、
「私もいつまでもお前のアシストばかりというのは性に会わないからな」と言った。
 そうか、今のはスキルか。
 自身の体力を消費することで打ち出す矢を強化する類のものか。
 しかし、あれだけの威力の攻撃をすればその消耗も相当のはず、このあたりで決めておかないとキツいな。
 マチカゼは目に入った血を拭い倒れ伏すゲートキーパーの首へ渾身の力を込めた一撃を振り下ろした。
 聞こえた音はがすっ、という剣が地面に刺さる音だけ。
 何かを切った手ごたえがない。
「な、んだと」驚愕の声を漏らすマチカゼ。
 ゲートキーパーは頭と身体に分離していた。
 その隙間に剣が刺さっていた。
 分離した頭がマチカゼへと高圧電流を放ち、まともに電撃を浴びたマチカゼの動きが止まる。
 そこにゲートキーパーの頭が体当たりを食らわせる。
 マチカゼは壁際まで地面を滑りながら転がった。
 すぐさま立ち上がろうとするマチカゼだったが、電撃で痺れた身体は主の命をきかない。
「マチカゼ、少し休んでいろ。どのみちお前の剣では飛んでいる敵とは相性が悪い。キムさん、マチカゼを」シルヴィアが叫んだ。
 分離したゲートキーパーの頭と身体は空中を自由自在に飛び回りながら、統率されたコンビネーションで攻撃を仕掛けてくる。
「シルヴィア、先にどっちを潰す?」ハルイロの問いに、
「これだけの速度で動かれると小さい頭は狙いにくい。まずは身体だ」とシルヴィアが答えた。
「だな」
 ハルイロが牽制をしてシルヴィアがパワーショットを放つ。
 ゲートキーパーの身体は何度も強化された矢を受けるがその動きにはなんの衰えもない。
「くそっ。どうなってんだよ」とハルイロがぼやいた。
「身体の方はいくらダメージを与えてもきりがないな。頭の方から崩すしかないか。だが、問題はあの小さな的をどうやって捕捉するかだ」
「それならいい方法があるぜ」
 言って、ハルイロは頭の進路に立ち塞がり素手で頭を受け止めた。
 全身を駆け抜ける激痛にハルイロの表情が歪む。
「後は任せろ」
 シルヴィアはあらん限りの力を込めて、最初に当てたのと同じ場所に正確に二撃めを射った。
 ゲートキーパーの頭はブルブルブル、と振動してから地面に落ち動きを止めた。
 身体の方も停止した。
「やったのか?」
 だが、次の瞬間シルヴィア達は戦慄する。
 なんとブウンと音を立てゲートキーパーが再起動したのである。
 そして、あろうことか分離していた頭と身体が合体し、ゲートキーパーは両腕を構えた。
  
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09/05|世界樹の迷宮3コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 マチカゼ達が部屋に入ると、そこには身体を鋼鉄で覆った巨兵の姿があった。
 あれこそが何度もその名を聞いたゲートキーパーであろう。
 突然ブウン、と音がして巨兵に灯っているランプがレッドからグリーンへと切り替わった。
「どうするマチカゼ?」シルヴィアが短く尋ねる。
「それを今考えているところさー。でも分かってることは幾つかあるさー」
「なんだ?」
「光の攻撃の有効範囲のことさ」
「いや、光を放ってくるんだろ? 真っ直ぐに飛んでくるんじゃないのか?」
 シルヴィアはマチカゼの言わんとするところの意味が分からず不思議そうな顔をする。
「それさ。直進するだけの攻撃だったら、ビームとかレーザーとか言った方が簡単にイメージを伝達できるさ。それを敢えて《光を放つ》なんてもって回った言い方をする、それプラスあいつのダメージを見ると、最悪、ゲートキーパーを中心に同心円状、ていうか同心球状、つまり360度全方向に攻撃してくる可能性があるさ」
「おいおい、そんなもんどうやってかわすんだよ」
 ハルイロがぼやくもマチカゼがあっけらかんと答えた。
「かわせないさ」
「ちょっと待てよ」ハルイロがマチカゼの肩をガクガク揺らす。
「話しはちゃんと最後まで聞くさ。《両腕を構えてから》ってあいつは言ってたけど、この両腕を構えるってモーションが多分チャージのために必要不可欠な動作さ」
 シルヴィアが両手をぽん、と打ち、
「なるほど。チャージを妨害して光の攻撃を使えなくさせるということか」と言った。
「そういうことさ。あとゲートキーパーはどっからどう見ったってロボットさ。こっちの動作を探知するセンサーがどこかにあるさ」
「そこはどうしても装甲が薄くなる、弱点ってか」
「厳密に言ったら、この部屋のどこかにもあるかもしれないけど、派手な攻撃してくるとこからみると多分それであってるさ」
「オメガ」シルヴィアが凛として言う。「今回の戦闘、こちらもダメージを受けることは避けられない。回復役のキムさんを守れ」
 オメガが頷いた。
「マチカゼ、とりあえずレンズっぽいとこ狙うから、敵の反応をよく見とけよ」
「そっちこそ誤射して俺っちに当てないで欲しいさ」
 二人はピリピリとしたギリギリの緊張感の中で軽口を叩き合う。
 敵との力量差は圧倒的。
 何せ、たった一人でマチカゼ達と同じ第四階層まで辿り着いたあの青年でさえ退けた相手なのである。
 それでもマチカゼは躊躇わない。
 これは一対一の決闘ではない。
 一人では敵わない相手でも、戦術と連携とを駆使すれば幾らでもやりようはある。
「先手必勝さー!」
 マチカゼは咆え大胆に間合いを詰め、剣による刺突を繰り出す。
 ぎゃり、と金属を引っかく音がしたがそれだけだった。
 ゲートキーパーは山のような大腕を振り回すが動きは鈍く単調なため、マチカゼは剣で攻撃全てを受け流す。
 (やっぱ狙うは関節か)
 マチカゼが一瞬油断したとき、ゲートキーパーの上半身がくるり、と回転した。
 人間ではありえない動きで左の拳がマチカゼの頭を掠めた。
 人間のような形をした相手に、人間のような動きを想定していたマチカゼは反応が遅れる。
 上体を逸らし直撃は避けたマチカゼだったが、額が割れ出血し意識が揺らぐ。
「ぐっ」と呻いたマチカゼにゲートキーパーの右腕が振り下ろされようとしたとき、視界の外からやって来た青白く輝く何かがゲートキーパーの側頭部に命中した。

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 拍手してくださる方ありがとうございます。
 追記にて、
 ブリゼさん、りささん、拍手コメントくださった方にコメント返信があります。

08/20|世界樹の迷宮3コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 元老院で姫様と話す。
「皆様、たった今報告を聞きました。私達の希望にご助力していただきありがとうございます。けれど事は単純ではありません。これからやろうとしていることはとても難しい話なのです。説明します。フカビト達や魔が存在するのは現在探索をしている地底洞窟より更に奥の深層部です。ですが、そこに行くためには深都の配備した兵がいて、その通行を阻んでいるらしいのです。社員の報告では、その兵は深都の技術が生み出したゲートキーパーという名の人造兵だそうです。皆様にはその人造兵を倒して洞窟の奥、フカビトの住む海底神殿へ繋がる扉を開いて欲しいのです」
 ゲートキーパーをとにかく殺れということらしい。
 わあい、なんて単純なんだ。
「勿論簡単ではありませんが」と姫はあっさり言った。
 簡単じゃないことを簡単に言うのはやめて欲しかった。
「もう私達に取れる手段はそれしかないのです。皆様どうかよろしくお願いします。そして――どうか無事に海都に戻って来てください」
 海都の姫はそれ以上は何も言わなかったが、マチカゼ達は断る気などなかった。
 マチカゼ達が灼熱の迷宮を掻い潜り辿り着いた場所に、見慣れた青年が立っていた。
「やっと来たか。遅いぞ」皮肉めいた笑みを浮かべる性格の悪い社員は奥の扉を見ながら言葉を続ける。「その扉の先に深層へと繋がる道があり、そこを化け物のような巨兵ゲートキーパーが守っている。少し様子を見るために潜入してみたが、俺としたことが油断したようだ」
 苦笑を続ける社員の身体からは鮮血が滴り、傷んだ防具は激しい戦闘があったことを物語る。
「あの巨兵、両腕を構えてから全てを砕く恐ろしい威力の光を放ってきやがった。直撃は避けたが、このザマだ。後はお前たちに託すしかない。済まないが、頼む」
 ここに来てデレを見せ始める青年だった。
 
  
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08/04|世界樹の迷宮3コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 宿屋にて、
「どっちに付く気だ?」シルヴィアがマチカゼに尋ねる。
「俺っちは海都さー」
「どうしてだ?」
「俺っちは深王が気に食わないさー」
「だが、これは結構重要な問題だぜ」とハルイロはいつになく真剣な表情で言った。
「むぐむぐぐむぐー」
 器用に両手に箸を持ち、カルボナーラをすすりながらオメガが何か言った。
「なんだよオメガ」
「アタシ達は黙って様子を見てる方がいいのかも」
 シルヴィアは頷く。
「確かにこれは私達冒険者がどうこうできることではないな。とりあえず海都と深都の伝達係に徹していた方がいいかもしれないな」
「一応あいつにも伝えておこうぜ」
 そのあいつこと性格の悪い正社員のもとを訪れたマチカゼ達はことのあらましをを教えた。
「そうか。姫様との話は済んだようだな。これでお前達は姫様の希望を、海都の希望を知ったはずだ。また、お前達は深都の連中とも話をしているはずだ。彼らは彼らなりの目的があるのだろう」
 青年はそこまで語ると薄い笑みを浮かべてゆっくりと歩みを進める。
「道は示された。俺は姫様に従い先へ行かせてもらおう。お前達はお前達自身で考えるんだな」
 強い力のこもった目で語る青年はそう言い残して迷宮の奥へと消えた。
 致命的な分岐点に立たされたマチカゼ達。
 もう静観して入られない。
 深都か海都か。深王か姫様か。
 どちらかを選び、どちらかを選ばない。
「全員の選択を聞こうさー。どっちが良いとか悪いとかないから本音を言おうさー」マチカゼは口火を切る。「俺っちの意見はこうさー。深王イコールザイフリートだとしたら、奴は信用できないさ。最初は使命感からだったのかもしれないし、正義感からだったのかもしれないさー。でもそうだとしたら、どうして百年経ってもフカビトも魔も滅ぼされていないのか。自身を犠牲にして、たった一人だけを犠牲にして戦いを挑んだらなら短期決戦になるのは目に見えてるさ。滅ぼせないのではなく滅ぼさないのだとしたら、裏に何かあるはずさ。奴の味方になるのは危険さ」
「おい、ちょっと待て」シルヴィアは声を荒げ立ち上がった。椅子ががたんと倒れた。「たった一人で戦う道を選んだ人間を疑うのか!」
「百年という年月は人を変えるには十分な時間さ」言って、マチカゼはもの悲しそうに視線をずらした。
 ここではないどこかを見つめるように。
「オレの意見を言おう」ハルイロが言う。
「うむ」
「ここでオレが活躍すればモテモテだ。この試練、ある意味ではチャンス。見逃す手はない」
「………………」
 空気の読めないハルイロだった。
「酒場のご飯がおいしいから海都の味方をしたいかも」
「………………」
 空気の読めないオメガだった。
「やっぱり人間の味方をしたいアル」
 なぜだか知らないが、もういいや、とか言いたくなってきた。
「誰か一人だけが犠牲にならなければならない正義なんて間違っている」熱い思いをぶつけるシルヴィア。
 なんかシルヴィアさんの意見すごく新鮮な感じがする。
「よーするに……、俺っち達がフカビトも魔も倒せばいいだけさ」
 全員の意見が一致し、全員で戦うことを選んだマチカゼ達。
 分岐点にはもう戻れない。
  
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追記にて、
 三井さんにコメント返信です。

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