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 ネゴシエーション
 
「リンドウさんは既に死んでいるという前提でこれからは行動していきます」
 リンドウを残しアナグラに帰った第一部隊はミーティングルームに集まっていた。
 ヒデオの開口一番のあまりの一言に彼以外の隊員の心が揺れる。
「なっ!」
「なんだよ、いきなりそんなっ……」コウタは驚きを隠せずにそう訊き返す。
「僕は今から上層部の方々と会合があるんで、詳しい話はその後でします。午後6時にここに再集合ということで。それまでにみんなも心の整理をしておいてください。終わったことは終わったこと、もう何をしてもその結果は変りません。頭を切り替えましょう。僕に何か言いたいことがあるなら後にしてください。では、行ってきます」
 ヒデオの下す事実という冷徹な鉄槌に三人は打ちひしがれていた。
 そしてヒデオは頭を切り替える。
(ここから先、ミスは許されない)

 エレベータの前でツバキはヒデオを待っていた。
「ああ、ツバキさんですか。お待たせしてすみません」
「気にするな。今から上層部のメンバーとの面接だが大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。糖分はきちんと摂取しましたから」
「ならいいが……」
 役員区画にある大会議室の前でノックをする。
「失礼します」と言いツバキはヒデオと共に中に入った。
 面接の相手は七人。
「座りたまえ」と左から二番目が言った。
 ツバキはヒデオと並んで座った。
「今回君達を呼んだのは他でもない行方不明になった雨宮リンドウ第一部隊長の件なのだが、誰か他の隊員を彼が戻るまでの間代理にしなくてはならないといけないことになった。隊長の枠をいつまでも空席にしておくわけにはいかないのでね」恰幅のいい男が言う。「そのポジションには実質的に隊の指揮を取っていた君が良いと雨宮教官も押すが、15歳の新人を隊長にしたという前例はない。それゆえに……」
「今回の面接に至った、というわけですか」
「そうだ。我々は君のことを知らん。若い君に隊長を任せ神機使いの数が減るのは我々にとっては痛手なのだよ。ここは手堅く橘サクヤ君に隊長代理を任せた方が良いという意見も上がっている」
「彼の力は本物です。ログのデータをよく見てください」
 とツバキは主張するが、次の瞬間、彼女の思いは音もなく崩れていった。
「本当のところを言ってしまうと、隊長代理になるとかならないとかそういうのはおまけみたいなものなんですよ。僕にとってはこの面接に参加した時点で目的の半分以上は達したことになるんです」ヒデオは雄弁に語る。
「どういうこと、かね?」
「あなた方と直接的に会話をするというチャンスです。他人に聞かれるわけにはいかない話、ですよ。僕を隊長にすることのメリットとかですね。僕が隊長になれれば第一部隊をあなた達にとって都合のいい隊にするということです。極個人的なものを入手してくるとか、そうですね、もしも荒神に防衛線を突破されたときに通常なら一山いくらの神機使いが護衛する代わりに日常的に第一線で戦っている《僕の部隊》を護衛に付かせるとか。隊長権限というヤツですね。カードは切るもの、ですから他のやつは先に使ってしまっている可能性が高いです。でも仮に、残っていたやつがいたとしてもそれをあなた達のために使うかどうかは疑問ですよ。神機使いは使命感が強いのが多いですから。どうですか? 話としては悪くはないと思うんですが。他にも幾らでもお望みのことをやりましょう。取引が成り立つなら幾らでも」
 論理と感情を同時に揺さぶり会話のイニシアチブを取りに行く少年の姿が余りにも儚そうで、ツバキは心が震えた。。
 その震えた心で隣の少年を見る。
 少年はコールタールのように濁った眼で口裂け女のようににたり、と可笑しそうな笑みを浮かべていた。
(私のせいなのか私が……)
 その向かいで、
「はははははっ」
 とても可笑しそうに数人の面接官が笑った。
「私も随分長い間面接を行ってきたが君のようなタイプは初めてだ。子ども扱いしたことは詫びよう」
「いいえ。こういうのは大歓迎ですよ。僕という存在のことをあなた方に知ってもらうことができた」
「うむ、もう退室しても構わんよ」正面に座っていた一番年老いた老人がそうヒデオに告げた。
 ヒデオは立ち上がりドアへと向かう途中で振り向いてわざとらしく、
「ああ、個人でもオファーは受け付けていることを言い忘れていました。色よい返事をお待ちしています」と、言い退室した。
「雨宮教官、良い人材を見つけてくれた。これからも頑張ってくれたまえ」
 ツバキは拳を握り締める。
(ヒデオにこんなことをさせるために私は彼を神機使いに、したわけではないのに) 
「君の部署には資金を三割り増しで支給しよう。部下を鍛えてやってくれ」
「それも私達のため、ですねえ」
 フフフ、と一同は笑い。
 ツバキは笑わなかった。
 
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