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 策戦開始
 
 夜遅くにツバキの部屋のドアがノックされた。
 二回、呼吸ひとつ分間を空けて三回。
 ツバキは鬱陶しそうに大きくため息をつくと読んでいたレポートから目を上げた。
「誰だ。用事があるなら入れ」
 しかし、ドアも向こう側にいる人物は何も言わない。
「全く、なんだというんだ」ツバキはやれやれといった感じで立ち上がる。
 ガタン、と椅子が音を立てた。
 椅子の動く音を聞いて初めて彼は言葉を紡ぐ。
「開けちゃダメです。このドアを開けてしまうとあなたに迷惑がかかる。だから開けちゃダメです」
 
その声は最近よく聞く少年のものだった。
 頼りないが、ときには凛々しく響く少年の声。
 確認する必要など皆無。
 追認する必要など絶無。
「今から僕が言うことは全部独り言です」
 そして、少年は語り始める。

 午後六時、ヒデオ達第一部隊はミーティングルームに集まっていた。
 真ん中あたりの席にサクヤとコウタが並んで座り、ソーマは壁にもたれかかっていた。
 最後にやって来たヒデオは閑散とした室内に入る。
 誰もヒデオに声をかけようとはしない。
 沈黙の中、壇上に立ちヒデオは言った。
「早速ですが、今から新しい作戦を行いたいと思います」
「あ、あなた……」サクヤが悲痛を噛み締めるように、
「アンタのこと見損なったよ」コウタが侮蔑を込めて、
「早速隊長気取りかよ……」ソーマが階段を上がりながら吐き捨てるように言った。
 壇上に上がったソーマはヒデオの胸ぐらを掴み引っ張り上げる。
 ヒデオとソーマにはかなりの身長差があるためヒデオの両足は宙に浮く。
 ソーマはそのままヒデオを壁に叩きつける。
 ぐはっ、とヒデオの息が漏れた。
 ヒデオはソーマの腕を掴み、
「時間がないんだよ」と睨みながら言った。
 ソーマもヒデオの眼光が臨戦状態に変ったことに気付き手を離した。
 ふうっ、と息を吐いてからヒデオは右手でホワイトボードを強く叩く。
 そして、一言、
「今からリンドウ隊長の捜索作戦のミーティングを始めます」と告げた。
「えっ!」とサクヤ。
「へっ!」とコウタ。
「………………………」ソーマは眉をぴくんと動かすだけだったが、明らかに動揺していた。
「アンタ、リンドウさんが死んでることにするとか言ってたじゃん、どういうこと?」
「そうよっ、隊長になれて嬉しいんでしょ?」
 ヒデオは犬歯をむき出しにしたかのように笑い、
「あれは嘘です」と言った。
 愕然とする一同。
「頭が欠けて手足が混乱しているとき、最も早く最も効果的に統率を取り戻すには《共通の敵》を作ればいい。頭に上った血が下りてどうですか? すっきりしたでしょう?」
「確かに」
「アンタすげーよ。で、オレ達は何をすればいいんだ?」
「そうだな、正式な調査隊が編成され派遣されるまでの間は僕達だけでリンドウさんを探そう。その分の時間は部隊をまとめるために必要だという口実で何とか稼げたし。まあ、詳しいことは明日話します」

「――――――――みたいな感じです」
「そうか。そうだったんだな」
 ツバキはドアに背中を預ける。
 ドア越しに少年の体温を感じる。
 そして、珍しくありのままの思いを語る。
「なくしたくない。あんな奴でも弟なんだ。大切な家族なんだ。なくしたくないんだ」
「それは当然の感情です。このアナグラにリンドウさんがいなくなってもいいと思っている人間は一人もいませんよ。だから――――――――」
「……だから……」
「約束しますよ。僕は必ずリンドウさんを探し出し、助け出し、ここに連れて帰ります……必ず」
 その余りにも拙い余りにも拙過ぎる言葉なのにも関わらずに、熱い衝撃がツバキに迸り心に響いた。
 頭ではなく、心に響いた。
 ツバキは天を仰ぐ。
 虹の欠片の一滴が零れてしまわないように。
 そして、ありがとうと述べた。
 それは、久しく使っていなかった言葉だった。

 
 
 たくさんの拍手をいただけてありがとうございます。
 追記にて、
 マーガスさんにコメント返信があります。

>マーガスさん
 はじめまして。
 コメントありがとうございます。
 記事を気に入っていただけてとても嬉しいです。
 言い辛いのですが、15歳なのはゴッドイーターのヒデオで、管理人単体は社会的にレッドゾーンくらいの年齢です。
 管理人の勘違いだったらすいません。
 
 
 
 
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02/13|ゴッドイーターコメント(1)トラックバック(0)TOP↑
この記事にコメント
あら、そうなんですか
どうも勘違いだったようですね。

どちらにせよゴッドイーターが好きなんで
これからも楽しく読ませてもらおうと思います。
From: マーガス * 2011/02/13 20:11 * URL * [Edit] *  top↑
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