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 本音とたてまえ
 
 昨日、ツバキのところに行ってから自室に戻ったヒデオは徹夜でターミナルでデータベースを探っていたのだが、どうやら途中で寝てしまったらしい。
 気が付くと朝だった。
 ヒデオは目の前に置かれた、
「もうっ、さっさと起きなさいよね!」と、鳴り響く幼馴染み目覚まし時計を光速で停止させることになんとか成功した。
 幼馴染み目覚まし時計というのは、早朝から萌えを周囲に撒き散らす早く起きなければいろいろなものが終わってしまうという狂気の産物である。
 ヒデオは着替えるとミーティングルームへと向かった。
 ミーティングルームには誰もいなかった。
 ヒデオが来る途中で買った朝食代わりの柏餅を食べていると、サクヤとコウタとソーマが三々五々と入ってきた。
「あれ? 先に来てるなら言ってくれればよかったのに」コウタが疑問を口にする。
「つなぎの人、お前今うちが内輪もめしているということを忘れてないか」
「ああ、だからみんながばらばらに来るように言ったってことね」
「そうです、サクヤさん」
 ヒデオは残りの柏餅をもくもくこくん、と飲み込むと、
「これからの僕達の動きを説明します」と言った。
「やっぱ四人だけでリンドウさんを探すの?」コウタは尋ねる。
 こういうときには隊のムードメーカーである彼の存在はとても助かる。
「そんな楽観的な方法は取れないよ。いろいろ気になることもあるしね」
「気になることって何?」
「リンドウさんが個人的なデートと称してたまに単独行動を取っていたことは知ってるだろ」
 個人的じゃないデートがあるのかという疑問はまた別の話。
「あったあった。ちっともオレには女の子を紹介してくれなかったから憶えてる」
「それと今回の同一区画に複数のチームが派遣された件、全く無関係だとは言い切れない。ですからサクヤさん、あなたはリンドウさんの部屋に隠されたデータメモリ等がないか調べてください。うちの隊でリンドウさんと最も親しく部屋を漁っていても不自然ではないのはあなたですから。それからもうひとつ、リンドウさんの部屋に来た人間のチェックもお願いします。何者かが証拠隠滅のためにリンドウさんの部屋に来るかもしれません」
(今のサクヤさんを出撃させるわけにはいかない。メンタル面のダメージが大きすぎる。それに少しくらい思い出に浸ることくらいは許されると思う)
「分かったわ」サクヤはゆっくりと頷いた。
「ソーマさんとつなぎの人は二人で事件現場を調べに行ってください」
「あれ、アンタは来ないの?」
「だから、うちは今チームの連携が上手く取れてないことになってるんだ。僕が一緒に行くわけにはいかない。二人でなんとかしてほしい」
「……チッ、分かったよ」ソーマが舌打ちし返事をした。
 ヒデオはニヤニヤと笑い、
「あなたもみんなのこと、仲間だと思ってくれているんですね」
「……クソッタレが」
「で、アンタは何すんのさ?」
「僕はミッションのシステムの把握と掌握です。ターミナルの使用は情報科に筒抜けですが、僕がどういう人種か上層部にしっかりアピールできましたから、多少強引な手を使っても怪しまれないでしょう。ルールの隙間を縫って、グレーゾーンを上手く突いて《部隊の説得をしている》で通ります」
 ヒデオにはアナグラから外へ出られない理由がもうひとつあった。
 それは誰に話す気もない、ヒデオにとって、極めて重大な理由。
「それじゃあ、策戦開始といきましょう」
 ヒデオはドアの前まで歩いていくと立ち止まり180度回転する。
 つまり振り返る。
「もう少しサービスしておきますか」不敵に笑いヒデオはソーマに向かって命令する。「僕を突き飛ばせ」
 ソーマは一応手加減してヒデオを押した。
 ドアがドン、と派手な音を立てて半開きになった。
 騒ぎを聞きつけて職員が集まってきたが、ヒデオは苦笑して言う。
「少し熱く議論してまして、大丈夫ですから」
 そうなのか、と確認すると職員は立ち去っていった。

 ヒデオはアリサのいる病室の前にいた。
 憂鬱そうに中空を見ている。
 そこに何かの答えがあるのではないだろうかというように。
 ヒデオの頭をよぎるのは、あの日あのときの胸を穿った絶望。
 飢餓感にも似た孤独。
(僕はあの日あのとき、一人ぼっちだった)
 あのとき誰かが傍にいてくれたならどれだけ救われただろうか。
 あのとき誰かが傍にいてくれたならどれだけ報われただろうか。
 だから彼女にはそんな思いはしてほしくなかった。
 ロシアから来た少女。
 担当医が一人随伴してきたけれど所詮は医者と患者。
 幾らでも代えの利く条件だ。
 ロシアからたった一人できた少女。
 リンドウの件で仲間の神機使いからも距離をあけられた女の子。
 その誰かの空けられたものを埋めることで、少しでも救われようとする自分。
 なんと浅ましい人間だろうか。
 ヒデオは引きつった笑みを浮かべる。
「まあいいさ。僕は仲間の誰にも寂しい想いなんてさせない」ひとりごちる。
(リンドウさん、僕はあなたの留守を守ってみせますよ)
 ヒデオはアリサの病室のドアを開けた。
 
 

 
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