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 交わる想い
 
 病室、静かに寝息を立てているアリサの傍らに黒髪の少年がひとり。
 少年はぼけーっとしながらみたらし団子をもっちゃもっちゃ、と食べている。
 先日のキス行為がニアミスに終わったこともあり、ヒデオはアマゾンでお付き合いマニュアル(年上お姉さんバージョンはなかった)を購入し密かにチェックしていた。
 団子を咀嚼しながらイメージトレーニングする。
 なんでも‘彼女を作るぜ‘の記事に書かれていたことによれば、女性とお付き合いするには段階的思考が必要とされるらしい。
 要するにちょっとずつやってけ、ということである。
 目の前の美少女は無防備に眠っている。
 チャンス、これは紛れもないチャンス。
 病人ならば心細そうだから手を握っていたという事実が正当化できるし、今病室にはヒデオとアリサの二人しかいない。
 監視カメラの目があるが、上手くいけばいいムードになるのではないだろうか。
 などと考えていると案の定、鼻血が出てきた。
 フェンリル極東支部に来てから様々な美人さんと時を共有してきたこともあり、結構抗体ができたヒデオだったが、やはり一次的接触時にはリビドーがガラスの迷路で思い切りぶつかったみたいに暴走してしまうのである。
 ヒデオはドキドキしながらそっと手を伸ばし、アリサに触れた。
 前回のときと同じようにアリサの中の何かがヒデオに流れ込んでくる。
 幼いアリサがたんすに隠れている。
 アリサを探す両親、だろうか。
 アリサはそれをたんすの扉の僅かに開いた隙間からこっそりと見ている。
 そこに突然黒いヴァジュラが現れる。
 彼女の両親が襲われる。
 どこかの施設に場所が移った。
「……幼い君は……、さぞかし自分の無力さを呪ったことだろう」
 どこかで聞いたとのある男の声がして、アリサの右腕に腕輪がつけられた。
「……その苦しみに打ち勝てば、君は親の敵を討つための力を得るのだ!」
 アリサは右腕の痛みに苦悶の悲鳴を上げる。
「そうだ! 戦え! 打ち勝て!」
 再び場所が変る。
 今度は病院だった。
 ベッドの上でアリサは男の声を聞いている。
 それは擦り込むような話し方で優しさも慈愛も何もない単なる単語の繰り返し。
「こいつらが君達の敵、アラガミだよ」
「アラ……ガミ?」
「そうだよ。こわ……いこわーいアラガミだ。そして最後に、こいつが……君のパパとママを食べちゃったアラガミだ」
 この人は、リン……ドウさん?
「パパ……、ママ……」
「でも……もう君は戦えるだろう? カンタンなことさこいつに向かって引き金を引けばいいんだよ」
「引き金を引く……」
「そうさ。こう唱えて引き金を引くんだ。アジン・ドゥヴァ・トゥリー!」
「アジン・ドゥヴァ・トゥリー」アリサは反復する。
「そうだよ、そう唱えるだけで君は強い子になれるんだ」
 こいつっ!オオグルマ!
「アジン・ドゥヴァ・トゥリー」と繰り返すアリサ。
 その声には精気はない。
(これは……記憶?)
 ヒデオとの接触によってもたらされた意識の奔流によって目覚めたらしいアリサは、上半身を起こし、
「何……? 今の……、今、頭の中に、あなたの気持ちが流れてきて……、まさか……、あなたの方にも……?」
 首肯するヒデオ。
 それに驚いたアリサは息を飲む。
「……あの日のこと……、ずっと、忘れてたはずだった……パパとママを少し困らせてやろうって……かくれんぼのつもりで、近くの建物の中に隠れてたんです……。もういいかい、まあだだよ、って。そしたら……、突然、アラガミだ! アラガミが来たぞ! って叫び声に変った早く出て行けばよかったのに……私、怖くて動けなくて……。パパとママが……、私を探しにきたけど……っ……。唸り声が聞こえて……、目の前でっ……、パパとママが……!」
 苦しそうに己の過去を吐き出すアリサの手をヒデオは優しく握った。
 そして、頷く。
「……私が、もっと早く気付いて逃げてれば……、二人も……。私のせいで!!」
「それは違うよ」首を振るヒデオ。
「だから……、私が‘新型‘神機使いの候補だって聞かされたときは、これでパパとママの敵が討てるって、思ったんです。……そう、二人を殺した‘あの‘アラガミを……」
 膝を折り曲げて頭を抱え体育座りするアリサをヒデオは抱きしめた。
 大丈夫だよ、と言わんばかりに。
「ごめんなさい。……自分でも分からないの……!」
 二人はしばらくの間そうしていた。
 ヒデオが出血多量になりそうだったので、二人は手を取り合うだけの距離に離れる。
「ありがとう。この前もこうして手を握ってくれてたの、あなただったんですね。温かい気持ちが、流れ込んでくるの分かったから……。っていうか、病室が血まみれになってるのってあなたが来たときだけですよ。今も患者衣血だらけだし」
「そんなことはないよ、アリサちゃん。寝ている君に若干の劣情を催し興奮し鼻血を出す人間は天文学的にいるよ」
「でも、あなたなんですよね?」
「いや、そうだけど。僕の場合はそういう鼻血じゃないんだよ」
「そこ! みたらしのたれをさりげなく人の布団で拭かないでください」
 
 しかし、とヒデオはアリサの記憶について考える。
 第一に、アリサは己の意思で神機使いになったようには思えない。
 むしろ‘新型適合者‘として無理矢理戦うことを強いられているようにヒデオは感じた。
 もしそうならば、そいつらは絶対に潰す。
 声の男は誰だか特定はできないが、医者の方は、いや、現実的に言うならメカニックの方はオオグルマだというのは確実だろう。
 今すぐにでも殺すことは可能だろうが、そうしたところで代わりのヤツが来るだけだ。
 計画全てを潰さなければ意味がない。
 僕も現段階でチェックされるのはできれば避けたい。
 リンドウさんを暗示をかけることによって殺そうとしていたことも気になる。
 たかがひとりの神機使いを殺すためだけにあれだけのプログラムが組まれているとは思えないし、リンドウさんを殺すことは手段の一部ということか、あるいは何かの実験なのか。
 リンドウさんの性格を知っている人間なら、僕たちのように置き去りにすればいいのだ。
 それで十分片がつく。
 ゆえに、計画の目的は別にある。
 それが何かは今手元にある情報からは推測できないが、オオグルマをマークしておけばいいか。
 後は声の主。
 腕輪を取り付ける現場に立ち会えるだけの権力を持ち、神機使いに対し大きな発言権も持つ人物。
 こちらの方はじっくりと腰をすえていくしかないな。

 ――――ねえ、何そんな怖い顔してるんですか?
 っ!
「いや、つなぎの人に隠しておいたイチゴ大福を食べられたんだよ。ラスト一個だったんだぜ。またお見舞いに来るよ、仕事サボって」
「今日もサボって来たんですか?」
「勿論さ」
  


  拍手ありがとうございます。
 
 
 

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03/01|ゴッドイーターコメント(1)トラックバック(0)TOP↑
この記事にコメント
こんばんわ^^
今日も小説面白かったww
また読みに来るよ~ 
From: スイープタレット * 2011/03/01 22:39 * URL * [Edit] *  top↑
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