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 いちゃいちゃ

 アリサとの約束の日の前日、ヒデオはツバキの部屋を訪れていた。
「実は……ということがありまして」
 しるこ片手にうつむくヒデオ、口の中の白玉を舌先で転がす。
「お前はどうしたいんだ?」
「どうなんでしょうね」
 ごっくん。
「僕のやり方を教えていいものなのか。それ以前に伝えられるものなのか。でも、彼女は僕がいいと言ってくれました。その気持ちには応えたいとは思うんですけどね」
 ずず、としるこをすするヒデオ。
「お前にはお前にしかできないことがある。その中にはお前にしか教えられないことも含まれているんじゃないのか?」
 コーヒー片手に優雅に椅子に座っているツバキ。
 もう、ヒデオとは纏っているオーラの質が違います。
「言われていた教本のデータはそこのディスクに入っている。まあ、頑張るんだな」
 ツバキの部屋のドアをバタン、と閉じたヒデオは通路の壁にもたれると、
「っていってもなぁ。」ひとり呟く。「今夜が山だな。ここは僕が頑張らknight」
 暗い通路を辿って自室に戻った。

 二人は演習場で待ち合わせた。
 先にきていたアリサに対し、
「いやあ、売店が思ったより込んでいて遅くなったよ。昨日は夜遅かったんで先にここで朝食を取ります」がさごそとビニール袋からわらび餅を取り出し食べ始めるヒデオ。「食べる?」アリサにも勧めた。
「いりません」
やれやれとため息をつくアリサ。
「どうしてこんな人に戦い方を教えてもらうことになったのだろう?」
「人間多感な時期は過ちを起こしやすいものなのだよ」
「お前も同い年だろうがっ」
 ヒデオはゴミをまとめるとよっ、と立ち上がった。
「じゃあ、レッスン1。まずは思い知ってもらうことにしようかな」
 ヒデオはアリサに向かい神機を構える。
 構えると言ってもただ手にぶら下げているだけなのだが、それがアリサの癇に障ったのだろう、
「油断してると怪我しますよっ」
 いきなり加速したアリサの繰り出した斬撃をヒデオは容易く交わした。
 その後、数十分アリサがひたすら攻撃し、ヒデオがそれをかわすという繰り返しだった。
 ヒデオは演舞でもするかのように美しく最小限の動きでアリサを完封した。
「な、何で……、当たらないのよ。私の方が戦闘能力は高いはずなのに」
「うん、考えるのは大事なことだよ。でも、答えを言っちゃうと簡単なんだ。僕が君の上官だから、だよ」
「でも……、それだけで全部かわせるわけがない」
「その通り。普通ならそうだろうね。でも、僕はそうじゃない。僕は特化した指揮能力だけで神機使いになった人間だから、部下の戦闘データは全て把握しているし、心理的なファクターもかなりのレベルまで分析できる。いうなれば、君が次に何をしようとしているのかが手に取るように分かる」
 ヒデオの挑戦的な赤い瞳が揺れる。
「……わ、私にもそれができますか?」ごくり、とのどを鳴らしアリサは訊いた。
「無理だろうね。僕はそれしかないからそれを突き詰めそのレベルに到達できた。でも、君は違う。君はいくら努力したとしても僕の100分の1、1000分の1くらいしか習得できないだろうね」ふう、とヒデオは間を置いた。「でも、ぶっちゃけそれはたいしたことじゃないんだ。神機使いにはそれぞれ適した戦型がある。事実君の剣のフォームはとても綺麗だ。何の問題もない」
 アリサの頬に薄く朱がさす。
「ありがとうございます」
「レッスン2。戦闘に関する考え方。クイズ形式でやってみよう」
「クイズですか?」
「そう。君は戦場に一人。手には剣の神機。その君の前に頭が刺突に弱いアラガミがいる。どこを突く?」
「それは頭でしょう。クイズも何もないじゃないですか」
「ぶー」とヒデオは言った。
 途端、アリサの表情が険しくなりヒデオの頬をつねる。
「痛い痛い、地味に痛い。突然何をするんですか?」
「いえ、ちょっとイラッときたもので」
「答えを言うから放してください。正解は隙を突く、です」
 再びヒデオはつねられる。
「痛い痛い、地味に痛い。やめてください」
「いえ、ちょっとイラッときたもので」
 ヒデオは赤くはれた頬さすりながら解答を続ける。
「この問題の重要な点はアラガミどうたらではなく、最初の一人という点にある。ミスをフォローしてくれる仲間がいないのならば、迂闊に敵の誘いに乗るのはやめた方がいい。ひとつのミスが死に繋がる。だから決定的なチャンス以外は慎重にいきましょう」凛とした表情でヒデオが言う。
「つねってごめんなさい。でも、あなたも最初からそういう風に言ってくれれば良かったのに……」
 それはそれとして。
「じゃあ、レッスン3にいきましょう。レッスン3は相手の動きを予測する方法です」
 最初のレッスンでヒデオに圧倒されたことを思い出し、アリサは食い入るようにヒデオの言葉に集中する。
「まず、視野を広く取ること。アラガミの爪や牙に意識が集中しがちですが、そこだけを注目するだけでなく常に相手の全体像を見るようにしてください。これで精神的死角からの不意打ちはかなり防げます」
 頷くアリサ。
「それから、敵の体幹と重心を読むこと。これで次の一撃が大体分かります。例えば右利きの神機使いの場合、剣モードだと左足に重心がよることが多いです。その左足のバランスを崩せば一撃を威力を簡単に削ぐことができます。アラガミの場合も同様に注目すべきは体幹と重心です」
「だから私の動きが読めたんですね」
 ヒデオは首を振る。
「アリサちゃんの動きを読んだのは似ているけど微妙に違う理由だよ。僕が読んだのは予備動作。相手を殴るには肘を引く。剣を振り下ろすなら持ち上げる。銃を打つなら構える。そういう一連の動作にはしかるべき手順というものが存在する。あらゆる攻撃には予備動作が必要なんだよ。それが僕たちが認識できる速度を有するかはまた別の話として」
「……すごい」
 アリサが驚愕のまなざしでヒデオを見る。
「そんなこと、訓練じゃ誰も教えてくれなかった」
「だから僕のは間違った戦い方なんだよ」
 むしろ誤った戦い方というべきか。
 ヒデオ自身もそれを分かっている。
 自分の戦い方はひとつのミスが死に繋がる戦い方なのだと。
 ヒデオが己に求めるものは戦うことではなく、かわすことなのである。
 
 そこまでのプログラムが午前中で終わった。
 そして、午後からは血で血を洗う過酷な鍛錬が続いた。
 いいかえれば、イチゴ練乳の如きメルティーな時間だった。
 午前中でブーストモードが切れてしまったヒデオ。
 マンツーマンの手取り足取りの特訓についに鼻血が発症する。
 触れ合う手と手が、重なる手と手が柔らかかった。
 周囲がいやに静かに感じた。
 心音、この胸のドキドキまでもが伝わるんじゃないかと思えるほどの沈黙。
 アリサはともかく、ヒデオにもそういう時間が必要だったのかもしれない。 

 
 
 
 
 拍手ありがとうございます。
 追記にて、
 別府悠斗さん、Liteさんにコメント返信があります。
 
 
>別府悠斗さん
 はじめまして。トキワです。
 コメントありがとうございます。
 メーカーに企画として採用されているものを、夢であれ思いつけたのは正直嬉しいです。
 札束型のメモ帳、ジョークグッズとしても面白いですね。
 情報ありがとうございました。

>Liteさん
 コメントありがとうございます。
 Liteさんはやる派ですか。
 僕も昔はやる派でした。
 とあるお祭りのときのエピソードなのですが、僕は1回やると目的のものが取れるまでひたすらムキになって歯止めが利かなくなるタイプの負けず嫌いなので、くじ引き屋のおじさんにもうやめた方がいいよ、といわれるくらいやりました。
 何事も程々がいいようです。

 
 
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03/20|ゴッドイーターコメント(1)トラックバック(0)TOP↑
この記事にコメント
コメントの返信がどこにあるかわかりませぬ。。
From: Lite * 2011/03/21 15:42 * URL * [Edit] *  top↑
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