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 変えられない過去代わりのない命

 サカキ博士は何を考えている?
 ヒデオは自室のベッドに横になり博士が落としたらしきディスクを蛍光灯の光にかざしてみていた。
 勿論、それで中身が分かるわけもない。
 しかし、それはヒデオの思考のひとつの過程である。
 サカキ博士は何を考えている?
 目を閉じるとガチンガチン、と歯車がかみ合う音がヒデオの脳内を伝播していく。
 不自然な点がいくつかある。
 一流の科学者ともなると、扱うデータの量が多すぎていちいち憶えていられない。
 だから、メディアを常に携帯していることは当然だ。
 そこには何もおかしな点はない。
 ならば、せっかくカテゴリしたデータをどうしてケースに入れてラベルを貼らない。
 一流だろうが二流だろうがディスクの外見だけを見て中身を知ることはできない。
 それができれば科学者以前に超能力者である。
 そもそも、きちんと管理しなければメディアを使う意味がない。
 ラベルがなければ中身を見なければ持ち主には返却できないことなど自明の理だろうに。
 故にこれは他人に中身を見せるために落とされたものということになる。
 そして、すれ違いざまの博士の一言も気になる。
「キミは好奇心旺盛な方かな?」
 わざわざディスクの存在をほのめかす発言。
「念のため中身を見ておくか」
 ヒデオは独り言を言ってターミナルを起動させた。

 ディスクの中身は録画映像だった。
 手術室というにはいささか強固過ぎる部屋の施術台に異形の魔物が横たわっていた。
 左側に医師がいて右側に看護師がいて何らかの作業をしていた。
 ヒデオは施術台の大きさからその魔物の元になったものを想像し奥歯を噛み締める。
 かちゃかちゃかちゃ、と二人が作業を続けていると、突如黒い血飛沫が飛び散りそれを浴びた医者が悲鳴を上げて倒れ込んだ。
「麻酔効いてないの?」看護師が慄きそう叫ぶ。
 画面には映っていなかった誰かが、
「おい! こっち手伝え!」と言い施術台に駆け寄っていった。
 その際にぶつかったのかカメラが倒れ映像が途切れた。

 舞台は変わり、会議室。
 六角形のテーブルに三人の人間が席についていた。
 一人は支部長、一人はサカキ博士、もう一人は知らない人だ。
「やはり成体への変色因子の組み込みは難度が高いわね」とメガネをかけた黒い肌の女性は言った。
「投与してもアポトーシスが誘導されづらいようだね。やはり胎児段階の投与が一番確実じゃないかな……。少なくともラットでは成功している」と当たり前のように言ってサカキ博士はお茶を一口。
 成体、胎児、施術台のサイズ。
 それらが示すものはただ一つ、”こいつらは人体実験を行っている”。
 ヒデオは深紅の瞳でモニターを睥睨し、鉄球さえ握りつぶすかのように拳を握り締めていた。
「どちらにせよ人体での臨床試験が必要な段階だろう」と支部長は言う。
 支部長の、この声は……、アリサちゃんとの感応現象時に聞いた声だ。
 アリサちゃんを道具に仕立て上げたのは支部長だったのだ。
 確かに人体実験を躊躇わずするような外道ならばそれくらいやっても不思議ではない。
「原理が分からないものを、分からないまま使うアプローチ全てを否定するわけじゃないけど、P―73偏食因子の解明は始まったばかり、少なくとも今行うのはいかがなものかと……」
「1日10万人近くがアラガミによって捕食されている状況で、そんな悠長なことは言ってられないだろう」
「君がペッテンコーファーのように、自分で試すのかい?」
 ペッテンコーファーって貝割れ大根食べた人だっけ。
「ああ……それが合理的であれば試すさ」
 あくまで、”今”はまだ早いと主張する博士に対し、そんなのんびりとはしてらんないと反論する支部長。
 そこに女性が割って入る。
「ヨハネス……私の……私たちの子供に投与しましょう」
 なんと眼鏡女性は支部長の奥さんだった。
「……本気か? いくら君の発案だからといって……私たちの子供を……」
「誰かが渡らなければならない橋よ……。それならば私たちが……」
「しかし……」
「合理的だけど……、賛成しかねるね」
「生まれてくる子供たちに……、滅び行く世界を見せるつもりはないわ」
 熟考の後、支部長は、
「私は支持しよう」と言った。
「両親ともに賛同か……、説得の余地はなさそうだね。ならば私は降ろさせてもらう。君たちとは方法論が違いすぎる」
「……サカキ」
「私はどこまでも”スターゲイザー”、星の観察者なんだ」
 こんなイタい博士見たくなかった。
「君たちの重大な選択に介入するつもりはないよ。私は私の方法で、偏食因子の研究を続ける。またどこかで交わることもあるだろう。それじゃあ失礼」
 博士が立ち上がったところでノイズが混じる。

 再び舞台は変わり、今度は病院へ。
 お腹が大きくなった支部長の奥さんがベッドにもたれかかっていた。
 そのお腹はピカピカと光っている。
「気分はどうだ?」
「うん。体調もいいし……はやく生まれてきてね」
 奥さんは優しくお腹をなでた。
「サカキは?」
「安産のお守りが贈られてきたが……音信不通のままだ」
「そう……。私たちが計画を強行したのをまだ怒って……」
「今は、考えるな。体に障るぞ」
「そのお守りはあなたが持っていて頂戴。明日はよろしくね」
 ノイズ。

 今度は支部長室だろうか。
 支部長はいつものようにテーブルに肘をついて両手を顔の前で組み合わせている。
「やあペイラー、久しぶりだね。あの忌まわしい事件の後、君もご存知の通り……、マーナガルム計画は事実上凍結された。あの事故で生き残ったのは、生まれながらにして偏食因子を持ったソーマと……君からもらった”安産のお守り”を持っていた私だけだ。君が作ったあの”お守り”の技術が、今や人類をアラガミから守る対アラガミ装甲壁になるとは……。科学者として、君には敵わないを痛感したよ。おそらく君は……、こうなることを予見していたのだろう? フッ、安心してくれ。君を責めるためにこのメールを送っているわけではない。近々私はフェンリル極東支部の支部長に任命される。そこで再び君の力を貸して欲しい。報酬は研究のための十分な費用と、神機使い、ゴッドイーターにまつわる全ての開発統括だ。そうだ……君に息子を紹介していなかった。まあ、そういうわけで近々挨拶に行くよ……それでは失礼」
 ノイズが入る。

 最後はアニメだった。
 このディスクを拾われた方は、ペイラー・榊の研究室まで届けてください。……まさか中身は見てないよね?
 ディスクが終わった。

「ソーマ」
 ヒデオは天を仰ぎ乾いた声でそう呟いた。
 目を瞑る。
 何もかもが黒に染まる。
 どこまでも落ちていく感覚に身を委ね、息を吸って、吐いた。
 目を開いたヒデオは紅蓮の双眸で不敵な笑みを浮かべ、
「そういうやつならやりやすい。へたに正義感溢れてると損得抜きで情で動かれるからな。それに……」
 何より良心が痛まない。



 拍手ありがとうございます。
 いつも拍手していただけて、
 管理人のやる気も2割り増しです。
 追記にて、
 Liteさん、秋月さんにコメント返信があります。

>Liteさん
 コメントありがとうございます。
 僕はリアルさそりを見たことがありませんが、あのフォルム、絶対毒あるよ、です。
 確か、さそりって飼うのになんか申請とかしないとだめな生物だったと思います。
 ちなみに管理人はザリガニを飼ったことがあります。

>秋月さん
 コメントありがとうございます。
 あのさそりはボルグ・カムランというのですか。
 ブレンダンさんとジーナさんをメンバーに入れるというのは萌え重視の管理人には思いつかない発想でした。
 衛生兵を一人入れないと、という感じで毎回カノンちゃんを入れていたのが敗因だったようです。
 とりあえず、バスターブレードをつくるとこから始めたいと思います。

 
 
 
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04/03|ゴッドイーターコメント(2)トラックバック(0)TOP↑
この記事にコメント
頑張れ~

ちなみにカノンを入れると
味方への誤射がすごいから
みんな入れないんだよ。

ためになってよかったよ。
From: 秋月ナギ * 2011/04/04 01:29 * URL * [Edit] *  top↑
友達に聞いたら「あぁ あれはギリセーフのやつだから申請しんくて良かったんや」ですって

From: Lite * 2011/04/04 09:30 * URL * [Edit] *  top↑
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