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 華麗なるエリック

 私達を乗せた放浪バスはフェンリル極東支部に向かっていた。
 私達というのは私とその隣でバカ面で寝ている少年のことである。
 私達は今回の神機使いの採用試験に受かって極東支部に派遣されたのだ。
 私の神機は銃のアサルトで、彼の神機は剣のロングブレードだった。
 上層部の意向としてはどうやら新人の旧型神機使いはセットで運用する気らしい。
 そういうわけで、私と彼は同じ放浪バスに乗車していたわけである。
 そして、その放浪バスは運悪く(ある意味新人とはいえ神機使いが乗っていたのは運良くと表現するべきなのかもしれないけれど)、アラガミに襲撃された。
 アラガミに気付いた運転手が急ブレーキをかけバスは急停車。
 車内は混乱の一途を辿る。
 敵アラガミは三体、目視で確認する。
「ヤバいっすよ。どうするっすか?」
「俺達がやるしかない。幸いここはアナグラに近い。時間さえ稼げれば防衛班が駆けつけてくれるはずだ」
 そう言って彼は、荷物棚に載せてある神機を手に取ると、柄でバスの窓を割って外に飛び出した。
 私だってきちんと訓練を受けた神機使いだ。
 オウガテイルが三体なら十分に倒せるはずだ。
 それでも、こんな切羽詰った状況で戦うのは初めてだった。
 敗北が己の死と直結し、敗戦が他人の死と連結することに指先が震える。
 私が何とかしなければ。
 そう思ったが、背筋が凍りついたかのように身体は動かない。
 口の中がカラカラに乾いて声が出せない。
 そのときどん、と何かがバスにぶつかった。
 彼だった。
「お前、何してる。俺達は神機使いじゃねえか」彼は剣を杖の代わりにしふらふらしながら立ち上がる。
 私は……、彼の声で凍結から解き放たれた。
 そう、私は神機使い。
 私は運転手にアナグラへ向かうよう指示を出すとドアをぶち壊し戦場へと降り立つ。
「うああぁぁぁぁぁぁっ!」私はあらん限りの声で咆えアサルト掃射した。
 カチン、と音がして銃弾の雨がやむ。
 うそ、弾切れ……。
 捉え損ねた一匹のオウガテイルが私に迫り来る。
 牙が、爪が私に……。
 血飛沫が舞い人間の血液特有の匂いが鼻をさしたが、その刃が私を捉えることはなかった。
 気が付いたら彼が私の前にいて、私を庇ってくれていた。
「どうして?」
「銃の神機じゃシールドはれないだろうが」
 彼がするりと崩れ落ちる。
 私はカチンカチン、と弾切れの神機の引き金を引き続けた。
 こんなところで終わるのだろうか?
 こんなところで死ぬのだろうか?
 こんなところで…………。
 私が死を覚悟し両目を瞑ったとき、
「華麗なるエリックシューーーーーーーーッ!」
 名前も知らないその人が、私達を助けてくれた。
「やあ、君達。僕が来たからにはもう安心だ。この華麗なる救助を……」
「エリック右だ」
 しかしながら、銀髪のバスターブレードのお兄さんの忠告は少々遅過ぎたらしく、前輪を破壊された放浪バスがドリフトで目の前の
チャラ男しまうまみたいな刺青の青年はねた。
 血がざくろの果実を割ったように飛び散った。
「……え?」
 私の頭は目の前の光景についていけない。
「え、あの……、あの人大丈夫なんですか?」
「心配ない。ネタキャラは爆発しても髪がアフロになるだけだから」
「そうっすね」
 
 私達は第二部隊防衛班に所属することになった。
 第二部隊の隊長は話の分かる人らしく、なんと私たちの入隊パーティーをしてくれた。
 軽く自己紹介を済ませた後、祝辞を述べる隊長。
「まあ、堅苦しいことは抜きにして二人の入……」
 突如会話を停止させポケットから携帯を取り出す隊長。
 ぽちぽち、とボタンを押し、
「あ、ヒバリちゃん。オレだけど今……」
「何で祝辞の途中で電話をかけるっすかー」
「いつものことだ、気にするな」いぶし銀先輩が言う。
 カノン先輩はアルコールで頬をうっすらピンクに染めながらシャンパンをシェイクし、コルクでこっちを狙ってくる。
 非常に地味だがかなり痛い。
「射線上に入るなって私言ったよね。あはははは……」
 駄目だよ第二部隊。
 カノン先輩が私のグラスにシャンパンを注いでくれた。
 私はアルコールは駄目なのだが、ここで断っては宴会が興ざめだ。
 私達のためのパーティー、飲まねばなるまい
 グラスを傾け中身を口に含んだとき、背後でパーン、とクラッカーが鳴った。
 噴出した液体をシュン先輩にかけてしまう。
「お前、汚ったねえ……」
 と言うシュン先輩の背後でもクラッカーが炸裂。
 シュン先輩も私に噴出した。
「ったく誰だよ。ってジーナかよ」
「背後から忍び寄って撃つ。この快感分かってはもらえないのかしら」
 カレル先輩はカレル先輩で窓際で黄昏てるし。
「俺はどうして友達が少ないんだろ」お酒のせいか珍しく弱気な先輩だった。
 大丈夫なのか第三部隊。
 一方、自称防衛班のエースエリック先輩はというと、壁に向かって華麗なる武勇伝を喋り続けていた。
 もしかしたら、何かが見えていたのかもしれない。

 隊長から言われて、エリック先輩と行動を共にすることになった私達。
 名にし負わばみんなのアイドルエリック先輩。
 一緒にミッションを受付に行くだけでも、周囲からの注目を集め黄色い声援が飛ぶ。
「あれ、エリックじゃない?」
「ほんとだ。エリックだ」
「エリックー。バカかっこいいー」
 待て、それは半分以上は悪口ではないのか?
「エリックー、こっち向いてー。うざクールー」
 虫刺されの薬にもそんな感じの名前のやつありましたよね。
 いよいよミッション。
「本当は僕のような第一部隊にも借り出されるエースが新人に研修させるなんてことはまずないことだけど。リンドウさんもやっていることだし、今はエースが新人を鍛えるのがはやっているのかもしれない。まあ、いいさ」と前打って、
「改めて華麗に言っておくよ。僕はエリック。エリック・デアフォーゲルヴァイデ。ああ、華麗なる僕の精神は旧時代的な縦割り社会なんて華麗に跳び越しているから、僕のことは華麗なるエリックもしくはエリックさんと呼んでくれたまえ。君達もせいぜい華麗なる僕を見習って人類のために華麗に戦ってくれたまえよ」髪をかき上げるエリックさん。
 そのなにげない一挙手一投足が癇に障ります。
「あの、エリックさんひとついいですか」彼がエリックさんに尋ねる。「曇ってるのにサングラスはいいんですか?」
 エリックさんはやれやれと肩を竦め、
「ああ、君達は知らなかったんだね。僕の華麗なる眼球は赤外線も華麗に見ることができるのだよ」そんなことも知らなかったのか、とでも言いたげなエリックさん。
 その無駄スキル、やたらとうざいです。
「なるほど。ならばそのサングラスは高度な知能を持ったアラガミに目線の動きを悟られないためのものということですか! ありえない事態まで考慮してミッションに臨むその姿勢。エリックさん、アンタすご過ぎだよ」
「いや、普通にサングラスがかっこいいと思って身に着けてるだけっすよ」
「では、華麗なる僕による華麗な戦い、華麗に始めようか」
 フォーメーションは前衛に私と彼、後衛にエリックさんというものだった。
「エリックさん、悪いっすけど私後衛がいいんっすけど」
「何を言う。玉は盤の中央にどっしりと構えているものだろう。それにこれは君達の訓練だ。華麗なる僕が前に出ては意味がないだろう」
「まあそうっすけど」仕方なく引き下がる私。
 索敵にいっていた彼が戻ってくる。
「エリックさん。敵は情報通りオウガテイルが三体。一人一匹ってとこですね」
「君達二人で三匹倒してもらうつもりだよ。たかがオウガテイル三匹、華麗なる僕が出るまでもない」
「これも私達の訓練ってことっすか?」
 実際オウガテイル三匹はどうということはなかった。
 しかし、群れのリーダーだったのか、ヴァジュラテイルが一匹いたのである。
「手ごわいが三対一。上手く立ち回ればなんとかなりますよね、ってエリックさんいねえ」
 エリックさんは真っ先に逃げ出したのである。

 後にブレンダン先輩は言う。
「よくあることだ気にするな」と。

「全員退却。ここは悔しいが華麗に戦略的撤退だ」
 ダッシュで逃げるエリックさんとそれに続く私達、それを追うヴァジュラテイル。
「エリックさん、先輩なら殿を頼みたいっすよ」
「ええい、何を言う。僕は華麗に退路を切り開いてるじゃないか」
 それを聞いてブチン、と何かが切れた。
 我慢の限界だった。
「てめェ、さっきからカレーカレーカレーカレーうるせェンだよ。カレーではしゃいでいいのは小学生までなンだよ!」
 ブチ切れた私の口からは堰を切ったかのように罵声が飛び出す。
 
 という感じで新人研修は残念な結果に終わった。
 
 
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