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 白い悪魔と新兵器

 サクヤとアリサが奥の部屋へと入ったのを確認してからサカキは、
「さて、ヒデオくん。本題は何かな?」とヒデオに問うた。
 それはまるで予定調和とでも言わんばかりの口ぶりだった。
「ディスクの方はどうでした?」
「非常に興味深いものだったよ。君があれをどうやって手に入れたかは訊かない。どの道まともなルートではないだろうからね。それよりもだ……」サカキは肩をすくめる。「君は僕に何をさせようというのかな?」
 ヒデオはどかり、と近くにあるアンティーク調のソファに座ると背もたれにもたれて真顔でサカキに答える。
「それ作ってもらえませんか?」
「断る」
「人類の未来がかかってるんですからなんとかなりませんかね?」
 ヒデオの挑戦的な口調に、いつしかサカキの普段絶やすことのない微笑が消えていた。
「僕は人間をやめる気はないよ」
 サカキの痛烈な一言が場の空気を一気に凍てつかせ、ヒデオの紅蓮の双眸が凍りついた空気を塵へと解していく。
「ああ、すまない。君達ゴッドイーターを皮肉ったわけじゃないんだ」
 サカキは己の失言を訂正してから、
「でも、それは無理なんだよ」彼にしては珍しく諦観のこもった発言をした。「君は科学者じゃないから分からなくても当然なんだが、それを作るにはコストがかかり過ぎるんだ。それこそ一支部まるまる使っても資金も設備もぎりぎりといったところだね。僕一人では無理なんだ」
「だからこそ……、フェンリル東欧支部技術開発局が存在した」
 フェンリル東欧支部技術開発局では対アラガミの最新兵器の開発がおこなわれていた。
 研究のためだけの支部でアナグラには民間人は一人もいない。
 そこではあらゆる方面からの研究のみがおこなわれる。
 それだけの場所。
「そう、その通りだ。でも、僕がその研究を引き継ぐ気がないのにはもう一つ理由がある。それは君も知っているね」
「実験中の暴走でフェンリル東欧支部技術開発局は壊滅したってやつですか」
 サカキは頷く。
「そんなリスクのある実験をするわけにはいかない。僕もこれでも一応責任者だからね」
「ふーん」
 ヒデオはサカキの言葉に犬歯をむき出しにして笑う。
「本当のこと教えてあげますよ。僕もこれでも一応関係者ですからね」
「どういうことだい?」
「技術開発局は壊滅しましたし、暴走もありました。でもそれは、イコールじゃない。最先端のことやってるんだ多少のイレギュラーはレギュラーでしょう。壊滅した本当の理由……、それは異端審問管理局、神機使いの犯罪者を抹消する機関にかつて所属していた通称”白い悪魔”の仕業です」
 サカキは目を見開き思わず立ち上がった。
 椅子がばたん、と倒れる。
「魔法少女か?」
「違います」
「まさか……」
 ヒデオは立証する方法を持っていなかった。
 不在証明は難しい。
 資金の方はいくらでも手の打ちようがあるのでここが山場だった。
「そのまさかです。彼一人の手によって技術開発局は壊滅させられた。研究者全員皆殺しです。これを民間人に知られればアナグラは大混乱に陥るでしょう。だから……、上層部はこの情報を握り潰した。知らなくて当然なんです」
「じゃあ……、君は……」
 サカキは黙考しているかのようだった。
 ディスクを先に渡していたのが効いていた。
 常人では入手不可能なものをまず提示、それを下地に話に真実味を持たせる。
 ま、それはどうでもいいとして、そう前置きしてヒデオは、
「これで一個クリアです。もう一個はどうですか?」と言った。
「無理だね。資金も設備もないという事実は変えられないよ。そのディスクにあるプロトタイプさえ作れない」
 ヒデオは不敵に笑う。
 サカキにはヒデオの考えていることが分からなかった。
「プロトタイプが作れないということはプロトタイプがあったら他はできるということですか?」
 サカキはため息一つ。
 しかし、それは明らかな前進だった。
「それは机上の空論というものだね。基盤となるものがないのにそこから先を考えるのはともかく、ある前提で行動するのは無為だ」
 そこが科学者と策士の違いだろうか。
「あるんですよ。プロトタイプが」
 沈黙が月のように満ち月のように欠けていく。
 サカキはしばらく両目を閉じていた。
 そして、ヒデオの事情が分かったのか、悲しそうに、本当にすまなそうに唇を少しだけ歪めた。
「本当にいいのかい? 君はせっかく手に入れたものを手放すのかい?」
 ヒデオはサカキの正面に向き直ると、
「何が大切なのかは僕が決めることですから」静かにそう答えた。
 
 

 
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