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 ヒデオ女性陣にボコられる

 爆風の余波で雪原に伏すヒデオ。
 白いカンバスをヒデオの血液が赤く染めていく。
 口の中に広がる鉄の味にヒデオは生を確信していた。
 駆け寄ってくる第一部隊の隊員達。
 誰も負傷していない姿を見てヒデオは微笑んだ。
(良かった)
「何笑ってるんですか。ぼろぼろじゃないですか」駆け寄ってきたアリサが瞳いっぱいの涙を溜めて、普段の気丈な姿からは想像もできない顔で言う。
「大丈夫、ちょっとシクっちゃったから少しばかり飛ばされたけど、皆怪我していない。だから、大丈夫」
「大丈夫じゃないよ……。あなたはよくても私は全然大丈夫じゃないよ……」
 アリサは消え入りそうな声でそう言った。
「そうよ、あんな無茶して。あなたは……」
「サクヤさん、とりあえずはヒデオを連れてアナグラに戻りましょう」
 コウタはヒデオに手を差し伸べ肩を貸し立ち上がるのを手伝うが、ヒデオは途中で彼の手をどけた。
「どうかした?」
「今回の任務の最重要目的のしろね子さんの捕食がまだだ」
「あ、そうだった」
 ヒデオにとって今回の任務はあくまで腕輪と神機の回収である。
 捕食、しかしはずれ。
「最近の調査隊、いい加減すぎますよ!」一人憤慨するアリサ。
 今回の策戦のキーとなったのが調査が持ち帰ったデータだということを思いっきり忘れている。
 今回に限らず、戦闘においてはデータはあればあるほどいい。
 この辺りが前線で戦う者と後方で支援する者との価値観の違いである。
「まあまあ……、到着前に逃げちゃったのかもしれないし……」
 曖昧に言葉を濁すコウタ。
 負け組は言い訳が上手いのである。
「あなたはそんなになっても冷静なのね」サクヤは悲しそうに雪山の稜線を見ながら呟く。
 そのとき、咆哮が聞こえた。
「あれ、聞こえた?」
 コウタの問いにアリサにテーピングを巻いてもらっていたヒデオも頷く。
 声のした方へ行ってみると、黒衣を纏いし獣王がヒデオ達を睥睨していた。
 獣王は己の元へと寄って来た人間を試すように見渡ると、くるり、と向きを変えて去っていった。
「どうするの?」コウタがヒデオに指示を仰いだ。
「ここで奴と戦うのは危険」
「だよな……」
「でも、あいつを倒さないと駄目ってことね……。待ってなさいよ」
 
 アナグラに戻ったヒデオは病室に搬送された。
「随分と派手にやられたね」ヒデオの帰還を知ったサカキは病室へと足を運びヒデオと面会する。「全身打撲に擦過傷、特に左手の指先の損傷が酷い」
「博士、あなたがヒデオにあんな危険な真似をさせたんですね。どうしてですか?」サカキに詰め寄る第一部隊隊員達。
「彼が望んだからだよ」サカキは真顔でそう言った。「彼が望んだ。彼が決めた。彼が選んだ。それらは全て彼の自由意思によるものだ。もちろん、僕は止めた。止めはした。でも彼は止まらなかった。それだけのことだよ」
 ヒデオは上体を起こしてベッドの手すりの寄りかかっていた。
 アリサはヒデオのベッドのすぐ側に立つと、
「そうなんですか?」とヒデオに訊いた。
 ヒデオは居心地悪そうに頭を掻くと、
「博士の言う通りだよ」と言った。
「どうして、そんな無理をするんですか」
「今回ばかりは敵に逃げられるわけにはいかなかったから、確実に敵を倒す”最短”の手段を取っただけだよ」
 ”最善”ではなく”最短”そのニュアンスの違いに気付いたアリサにヒデオは頬を張られた。
 そして、アリサはヒデオの両肩に手を置きヒデオの目を見つめる。
「あなただけが戦っているわけじゃないんです。一人でリスクを背負う必要なんてないんです。だって私たちは……チームじゃないですか」
「ちょっといいムードになってるとこ悪いんだけど」とコウタ。「あんな秘密兵器があるなら最初に俺達に教えてくれてもいいじゃんか。ていうか、あの爆弾量産したらアラガミとの戦いもかなり楽になるんじゃないの?」
「それは無理だよ。ぷちナパームは非常にデリケートな兵装でね。炎属性は当然だけど、雷属性の攻撃を受けただけでも暴発してしまうんだ。今回のような特殊なケース以外では使い物にならない。何より、ヒデオ君はあれを自分以外の人間に持たせる気はないようだしね」サカキは説明する。
「ちょ、ちょっと待って……、それって私が誤射してしまったらヒデオが自爆しちゃうってこと……。そんな大事なことなんで教えてくれなかったのよ」
「だって、先にそれを言っちゃうとサクヤさん撃てなくなっちゃうじゃないですか」
「なっ……だからって……」
「事実サクヤさんはちゃんと命中させてくれましたし、何の問題もありません」
 ヒデオの開き直りが頭にきたのか、サクヤはグーでヒデオを殴った。
「何のためのチームだと思っているの?」思いっ切りヒデオに顔を寄せるとサクヤはそう言った。
 彼我の距離わずか数センチ。
 しばらくなかっためくるめく桃色世界にヒデオは少しだけ感動する。
 そこにガチャリというノイズが混ざった。
 誰かがドアを開けたのである。
「悪い、邪魔するぞ」
 教官のツバキだった。
 ツバキは真っ直ぐにヒデオの前まで来ると、いきなり拳骨をヒデオに食らわせた。
「痛いなあ、怪我人に何するんですか」ヒデオは頭をさすりながら言う。
「ヒデオ、どういうことだ? この作戦内容は」
 ツバキの猛禽類を思わせる鋭い視線がヒデオの顔を射抜く。
「こちらの被害が大き過ぎる」
「本当にそう思いますか?」
 挑戦的に自分を見つめ返すヒデオにツバキは息を呑んだ。
「僕の洞察眼を甘く見ないでくださいよ」
 ギラギラと、ぐらぐらと揺れるヒデオの緋色の瞳はツバキの心臓を氷の手で掴んだかのように収縮させる。
 思わず絶句するツバキにヒデオはさらに追い打ちをかける。
「これはさっきも言いましたが、今回の戦闘だけは相手に逃げられるわけにはいかなかった。追撃してでも敵を倒す必要があった。敵を逃がさないためにはどうするのが効果的か分かる?」
 ヒデオはアリサに水を向ける。
「えっと、退路を断つ、ですか?」
「それも一つの方法だ。でもたった四人でそれが適用できる状況は決して多くない。ならどうするか、答えは簡単だ……」
 その場にいる全員がヒデオに注目する。 
「……逃がしたくないのであれば、”相手を一撃で倒してしまえばいい”。大切なのは逃がさないことではなく、倒すこと」
 確かにそれはそうだ。
 故に火力に特化した武装を選んだ、ということか。
 だが、なぜそこまでする。
 神機使いが戦場に出る以上、命がけなのは当然のことだ。
 しかし、その確率を跳ね上げてまで強硬策を取る必要がどこにある。
 前リーダーだった弟のリンドウが皆に慕われていたことは知っていた。
 多くの神機使いが弟のために動こうとしてくれたことに感謝さえした。
 それでも、どうしてそこまでできるんだ、ヒデオお前は……。
「約束しましたから」ヒデオはぽつりと呟いた。
 その一言でツバキの脳裏にあの日あのときの記憶が蘇る。
 弟を亡くし絶望していた私に心をくだいてくれた彼の言葉にどれだけ救われただろうか。
 その言葉がその場限りのものなのだと勝手に決め付けていた自分。
 それなのに、彼はその約束に命まで賭けるという。
 ヒデオが最も大切だと思っているものは人の想いだったのではないだろうか。
「……そうか、そうだったな」
「分かってもらえたようでよかったです」
「ヒデオ、今まで通りにお前に今後も策戦の立案を一任する。しかし、これだけは憶えておけ。お前が傷つくことを望まない人間がこのフェンリル極東支部には大勢いることを……」
 ツバキはそう言い残し退室した。
 第一部隊はその後も病室で歓談した。
 やたらバガラリーを布教してくるコウタ。
 あつあつコーヒーをハルヒ飲み(一気にカップを180度傾ける飲み方)してくるアリサ。
 プラチナローラーで肌の手入れを始めるサクヤ。
 ソーマに至っては新台入れ替えの順番待ちという特務である。
 カオスです。
 
  
 
 拍手ありがとうございます。
 
 
 
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From:  * 2011/06/08 20:41 *  * [Edit] *  top↑
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