上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--/--|スポンサー広告||TOP↑

 覚醒、天使の力(前編)

 ヒデオは地に伏し眼前で仲間がアラガミに傷つけられていく光景を見ていた。
 くろね子さんの電流をくらってから今までの記憶がないということは、サクヤさんがうまく回収し治療してくれたのだろう。
 それでも全身を焼いた電流の余波はまだ残っており、皮膚を剥がされたような痛みにヒデオは顔を歪める。
 動こうとすると激しく血の混ざった咳が出て身体中の骨が軋んだ。
 立ち上がる力さえない。
 そして、目の前では仲間たちが勝ち目のない戦いを続けている。
 傷ついていくだけの仲間たち。
 勝機がないのは彼ら自身にも分かっているはずだ。
 ここは多少の犠牲を出しても撤退すべきときであることは、彼らも十分に承知のはずなのだ。
 どうして。
 どうしてそうしない。
 ――――仲間だからなのだろうか――――
 ――――情なのだろうか――――
 ――――絆なのだろうか――――
 ――――あるいは……――――
 だとしたら。
 だとしたら……本当にくだらない。
 そんなものでは誰も救えないというのに……。
 ヒデオは残された僅かな力で立ち上がり、
「撤退してください。このままではチームが全滅します。これは命令です」とあらん限りの声で咆えた。
「誰も死なせないんじゃなかったんですか? それが命令じゃなかったんですか?」アリサが怒鳴り返してくる。
「状況は変わったんだよ。引けと言われたら素直に引いてくれっ!」
「お断りです。あなたはあいつの高圧電流から私を庇ってくれた。今度は私が……あなたを守る」
「そーいうこったよ、隊長さん」ソーマが軽口を叩き、
「今回復させるからちょっと待っててね」サクヤがそう言った。
 ヒデオは一歩踏み出そうとして足がもつれて転んだ。
 もう自分は歩くことさえままならないのだろう。
 滲む視界で仲間たちを見る。
 ついに目までいかれたのか、そう思ったがそれは違った。
 ヒデオの目から零れ落ちていくのは涙だった。
 失くしたくねえよ。
 大切な人たちを、自分を仲間と呼んでくれる人たちを。
 本当に、失くしたくない。
 もう、仲間に死なれるのは嫌だ。
 もう、一人になるのは嫌だ。
「畜生……、どうすりゃいい」
 ヒデオは立ち上がろうと懸命にもがくが腕にうまく体重を乗せられない。
 必死の思いで戦う仲間たち。
 そしてついに、くろね子さんの爪がアリサに迫る。
 ヒデオの頭の中でカチンと何かが噛み合わさる音がした。

 瞬間、時が静止する。
 頭をよぎるイメージはこのフィールドの三次元のワイヤーフレーム。
 そのワイヤーフレーム上に表示されるのは建造物、味方、敵、その他にヒデオがこのフィールドに入ってから視界に入った全てのもの。
 ヒデオは己に語りかける。
 あの人と一緒だったときはこの状況を凌ぐ地獄を何度も見て来た。
 それに比べればこの程度の鉄火場、どうということはない。
 あのときは駒が一枚しかなかった。
 今は三枚。
 戦闘力では遥かに及ばないにしても、応用力なら上のはず。
 何より、今なら自分を駒にできる。

 くろね子さんの爪がアリサを襲うことはなかった。
 横合いから撃ち抜かれた弾丸がくろね子さんの眼球を捉えたのである。
 いくら分厚い鎧のような皮膚を持っていたとしても、それは眼球まで保護することはできない。
 あるいは瞼を閉じれば可能なのかもしれないが、そもそも今から敵に一撃を加えようとしているときに瞼を閉じるものなどおるまい。
 返り血を浴びたアリサが銃弾の軌跡を目で追うと、そこにはヒデオの姿があった。
 しかし、彼をヒデオと呼んでいいかどうかは問題である。
 そこに立っている少年はあまりにもヒデオからかけ離れていたのだ。
 普段の頼りない感じでもなく、戦場のブーストモードの狡猾さの中に熱い思いを秘めているわけでもなく、ただそこにいる少年の表情からはあらゆる感情が欠落していた。
 放つオーラは絶対零度であり、永久氷土のようだった。
「サクヤさん、僕から少し離れて体勢を立て直してください。その間の時間は僕が稼ぎます」ヒデオは抑揚のない声で言った。
「でも、あなた一人じゃ……」
 サクヤの反論をヒデオは途中で遮った。
「僕一人でこいつを倒すことは難しい。四人全員の協力が必要です。僕が稼げる時間にも限界があります」
「分かったわ、……ヒデオ、死なないでね」
 ヒデオは一人くろね子さんと対峙する。
「……………………」
 くろね子さんは猛々しい雄叫びを上げるとヒデオに左前脚を振り下ろした。
 それをヒデオは右に一歩踏み込み上体を沈めることで回避し切り返す。
 放たれる電撃も予測しバックステップで難なく回避し銃で反撃。
 ヒデオは自分にスタミナや筋力がないことを自覚している、故に最小限の動きだけで敵の攻撃を回避し、攻撃は常に相手の力を利用するカウンターに絞る省エネスタイルで戦う。
 一つのミスが死と直結する、まともな神経ではやろうとさえ思えない戦闘方法。
 ヒデオの研ぎ澄まされた情報解析能力があってこそ成立しうる曲芸のような戦術。
 ヒデオのビーコンにサクヤから連絡が入った。




 拍手してくださる方、
 ありがとうございます。
 追記にて、
 HIROKIさん、ちほさんにコメント返信があります。

>HIROKIさん
 はじめまして、トキワです。
 コメントありがとうございます。
 全体的に残念な感じの日常を送っている管理人ですが、その結果として読者の皆様に喜んでいただける記事が書けると幸いです。
 僕の表現力はどうでしょう、ありでしょうか。
 地味に右カラムのレーダーの評価を気にしている僕。

>ちほさん
 はじめまして。
 コメントありがとうございます。
 僕には当たり前のことでも他の人はそうではない。
 どうでもいいような日記ですが、楽しんでもらえると嬉しいです。
 
 
スポンサーサイト
07/13|ゴッドイーターコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
この記事にコメント
名前:
コメントタイトル:
メールアドレス:
URL:
コメント:

パスワード:
管理人だけに表示:
管理者にだけ表示を許可
この記事にトラックバック
FC2カウンター
現在の閲覧者数
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ドラクエ風xxxがあがった!
flash boreal kiss
プロフィール

トキワ

Author:トキワ
FC2ブログへようこそ!
にほんブログ村 その他日記ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

フリーエリア


ダンジョンRPG検定

最新記事
最新コメント
仁王立ちだZE★霧雨魔理沙
【東方】博麗ちゃんの賽銭箱
十六夜咲夜の大きな懐中時計
カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
インなんとか
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード
最新トラックバック
地球の名言

presented by 地球の名言
黒メイド時計
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。