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 覚醒、天使の力(後編)

「ヒデオ、準備ができたわ」ビーコン越しのサクヤの声。
「そうですか、では各自持ち場についてください。今度は……こちらが攻める番です」
 ヒデオはくろね子さんの攻撃をかわし続けながら所定ポジションへと誘導、同時進行で致命傷を与えることのできる方法を考える。
(とりあえずは、動きを止めさせるべきか)
 ヒデオはビーコンの通信スイッチを入れ仲間への最終確認をする。
「アリサ、サクヤさん、ソーマ、聞いてください。大切なことなので一応確認しておきます。いいですか、味方の攻撃は他の味方には絶対に当たりません。射線上に味方がいても躊躇わず撃ってください。自身の五感ではなく僕の言葉を信じてください」
 それは努めて冷静な声。
 とても敵との交戦中にあるとは思えないほどに、まるで棋士が盤上を見下ろしているかのような俯瞰的な声だった。
 くろね子さんも爪でいくら薙いでもかすりもしない、巨体でぶつかりに行っても当たりもしない相手に幾らか焦れているようで、攻撃がどんどん大雑把になっている。
 それはヒデオの狙いの一つ。
 大振りの攻撃ほど予測しやすいものはない。
「今です」ヒデオはいきなりそう言って後方へと跳躍した。
 そして、ヒデオがさっきまでいた場所をサクヤのスナイパーの光弾が通り過ぎていく。
 ヒデオの動きだけを追っていたくろね子さんは反応できずに前足に光弾をまともに食らった。
 動きの止まったくろね子さんにビルの屋上に待機していたソーマが躍りかかる。
 ソーマの一撃を確実に決めさせるために、建物の陰に隠れていたアリサは銃を掃射。
 金属の割れるような乾いた音がしてくろね子さんの背中を覆う殻が割れ、体液が流れ出した。
「フォーメーションを展開」
 ヒデオの指示でアリサとソーマが敵を中心にヒデオと三人で三角形にポジショニングする。
 一対複数の定石ともいえる戦術だったが、ヒデオはそこに自分に注意を集中させるべく後方にサクヤを配置させ狙撃させ残り二人の危険を最小限にさせ、自身の回避力を最大限に引き出し攻撃力を極限まで高める。
 事実、ヒデオの指揮下に入った三人はかすり傷一つ受けていない。
「持久戦は不利か」
 ヒデオはひとりごちると、ソーマにアイコンタクトを取りサクヤに指示を出す。
 左足でくろね子さんに一歩踏み込み、迎え撃たんとするくろね子さんの前で左足を基軸に回転。
 ヒデオの髪を掠めてサクヤの弾丸がくろね子さんに炸裂した。
 そして、ヒデオが一回転分の遠心力を上乗せした斬撃をくろね子さんの左前脚に放ち、それと同時にソーマがバスターブレードのチャージクラッシュを右から加える。
 両サイドからの攻撃で逃げ場をなくした衝撃がくろね子さんの左前脚を潰した。
 アリサはアサルトでくろね子さんの周囲を地面を撃ち砂埃で煙幕を張りヒデオとソーマが敵から離れるチャンスを作る。
 ヒデオはソーマと並走し敵から離れながら話しかけた。
「あれをやります」
「マジかよ。練習もなしでやろうってか? 正気とは思えないぜ」
「僕たちならできる。決めることができれば僕たちの勝ちだ」
 ソーマは立ち止まり、ヒデオはさらに走り続け距離を取る。
 ビーコンをオンにして、
「あれをやります。アリサとサクヤさんは敵の注意を引きつけてください」
「分かりました」
「分かったわ」
「行きます」と、作戦の始まりを告げた。
 ヒデオはくるりと反転すると全速力でくろね子さんに突撃する。
 その線上にいるソーマはバスターブレードを身体をねじって力を溜め、真横を通り過ぎたヒデオにバックスイングで振り抜いた。
 ヒデオはソーマの寸前で跳躍。
 上半身ぎりぎりまで引き付けた足でソーマのバスターブレードの腹を走り幅跳びでもするかのように蹴った。
 通常ではありえない速度で黒衣を纏ったヒデオは黒い弾丸と化し、くろね子さんへと吸い寄せられるかのように距離を縮めていく。
 鈍い音がしてヒデオの神機がはじめにつけた額の傷と全く同じ場所に柄下まで突き刺さった。
 ヒデオはくろね子さんの脳髄の神機でかき回し破壊する。
 くろね子さんが死んだのを確認してから、ヒデオは神機を引き抜いた。
「私たち勝ったの?」
「ああ、僕たちの勝ちだ」
 ヒデオの瞳に光が戻っていく。
 次いでバスターブレードを蹴った足に走る激痛でヒデオの顔が引きつる。
 しかし、それは、そこにいたのはいつものヒデオだった。
「ヒデオ、大丈夫?」アリサが心配そうに訊いた。
「駄目かもしれない。足がものすごく痛い」
「よかったいつものヒデオだ」
「よくない。これ、足絶対折れてるよ。誰だよ、こんな無茶苦茶な作戦を立てたのは」
「あなたでしょう」
「そうでした」
「全く無茶しやがって……」
 ソーマがヒデオに肩を貸した。
「お前はとっととアナグラに帰って治療を受けろ」
「その前にすることがある」
 ヒデオが重傷なので、今回のぱっくんちょはアリサがやった。
「……アタリ、です……」
「こっちもよ……、間違いない……。これはあの人の……」
 サクヤは手にしたリンドウの腕輪を辛そうに見ていた。
 微かな希望を断ち切る物証。
 これは彼の腕輪なのだ。
 その事実は紛れもない。
 サクヤは崩れ落ち、
「ああ……リンドウ……」と小さく言った。
「リンドウさん……」
 アリサは両手で顔を覆った。
 泣き顔を見られたくないのかもしれない。
 ソーマさえ粛々としていた。
 ヒデオだけが表情を変えない。
 チームの中で、ヒデオだけがリンドウの生存を信じていた。
 そして同時に、後悔もしていた。
 繊細な人間に安易な希望を振り撒いてしまったこと、その希望が潰えてしまったときに彼らが受けるだろう衝撃を考慮していなかったこと、だけれどそれは、隊をまとめるために必要なものだったことも事実である。
 全く僕は……なんて、業の深い人間なのだろう。
 そんなことを考えていたヒデオは突然目の前が真っ暗になった。
 そして、闇の中に落ちていく。
 僕は……。
 遠く近い場所で誰かの声が聞こえた気がした。
 
 
 
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