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 腕輪と、誇りと

 怪我が完治したヒデオがしるこ片手に荷物をまとめていると病室にツバキが入ってきた。
「とりあえず、退院おめでとうと言っておくことにしよう。そして、それともう一つお前に謝らなければならない、すまなかった」
 ヒデオはしるこの残りを一気飲みしてから、
「ええ、おかげさまで。えと、すまないって何ですか?」と答える。
「お前が前もって敵が強大だと言ってくれていたにもかかわらずに、安易に第一部隊を投入したあげく、これだけの被害を出してしまった。これでは教官として、上官として失格だな」
 ツバキが申し訳なさそうな顔で言うが、ヒデオは首を振るのみ。
「いいえ、これが最小の被害です。予想していたよりも大きかったのは事実ですが、それは僕が想定したよりも敵が強かったのと、僕自身のミスによるもの。あなたには何の責任もありません」
「……だが、最初からこの支部の精鋭部隊を組んでいればこんなことには……」
「それもいいえです。僕のことを最も信頼してくれているのは第一部隊なんで、あなたの判断は間違ってはいません」ヒデオはツバキの言葉を遮りまたしても首を振る。
「そうか……、すまない」
「いいえ」
 空気が重くなってきたので、ヒデオは藤籠から”お兄ちゃんのお友達へ”なるメッセージのついた手作りクッキーを食べ始めることで対処する。
 ばりぼりばりぼり。
 味覚的には微妙な味だったが、そこに手作りクッキー補正と妹補正が加わったため感覚的にはとても美味しかった。
 でも、ツバキは何のリアクションも取ってはくれなかった。
 そういうのは結構キッツいものがあるんですけどね、ツバキさん。
「しかし、よくあの状況から巻き返したな。驚いた、いや、正直に言おう、私は戦慄を感じた。管理局の白い悪魔を連想したよ。今のお前なら、奴と虐殺ではなく戦闘をすることができるだろうな」ツバキは遠くを見るような目つきで言う。
「それは買いかぶりですよ」
 ばりぼりばりぼり。
「そんなことはないさ……。今やお前はこのフェンリル極東支部の神機使いの頂点だ。誰もお前の代わりにはなれない」
「それでも……それでも……僕は、リンドウさんには遥かに及ばない……。僕と彼との間には決して超えることのできない壁がある」
「リンドウはリンドウ、お前はお前だ」
「それでも僕は……」
 そのとき病室のドアが勢いよく開いた。
「ヒデオいる―っ!」
 アリサだった。
「あ、やっぱりここだった。今からサクヤさんの部屋へ集合よ」
 ヒデオはアリサに引きずられるように連れだされていった。
 部屋にはサクヤがいた。
「ヒデオもちゃんと連れて来たわね」
 はい、とアリサが答える。
「この前見せたリンドウが残したディスクなんだけど、一応あなたと一緒に見た方がいいと思って実はまだ中身を見ていないの」
 サクヤはターミナルにディスクを挿入し腕輪をセットしようとしていた。
 ヒデオはセット寸前でサクヤの腕を掴みそれを阻止する。
「ちょっと待った。僕と同席して見るというのは賢明な判断ですが、先に僕が一人でチェックします」
「なによそれ? 人がせっかく一緒に見ようって誘ったのに」アリサが唇を尖らせて言う。
「二人が知らない方がいい情報が書かれているかもしれない。それにこれはリンドウさんの誇りを守るため」
「え? リンドウさんの誇りって何?」ヒデオに詰め寄るアリサ。
 近い、距離が近い。
「まあまあ、アリサ。ヒデオにも何か考えがあるんだろうからここは任せましょう」
「サクヤさんがそう言うならいいですけど」アリサは不満たっぷりの声でそう言った。
 ヒデオはディスクと腕輪を持って自分の部屋のターミナルにセットした。
 二人が見ない方がいい情報がどうだなんてのは、建て前だった(いや、ある意味その通りかもしれなかったわけだが)。
 リンドウさんとて男である。
 ディスクにエロ画像やエロ動画が入っているかもしれないのだ。
 その可能性がゼロではない以上、確かめる必要があったのである。
 そもそも、ヒデオがリンドウの部屋に越してきて一番最初に行ったことが、ターミナルやその他記録メディアのチェックと廃棄だったし。
 リサイクルできるものはリサイクルし自分のディスクにコピーし、それからオールデリートしたハードディスクを叩き壊した。
 その辺りは男同士の思いやりである。
「さて……っと」
 ディスクを開いてみたが残念なことにエロ画像や動画は入ってはいなかった。
「よかった。これでサクヤさんが絶望することはなくなったか」
 三人揃ってディスクの中身を見て、実はエロでした、では洒落にならない。
 リンドウさんの名誉もイメージも某内閣のように失墜してしまう。
 それだけは、絶対に避けなければならなかった。
「アーク計画、ね。まあ、名前とリストから何をするのかは大体が予測がつくけどな」
 ヒデオはリストの中に自分の名前、それから自分の知っている全神機使いの名前を見つけるとついっ、と目を細める。
「やっぱりそういうことか」
 ふうっ、と息を吐いてからヒデオは片手に三色団子のパックを持ってサクヤの部屋に戻った。
  
 
 
 

 拍手してくださる方、
 ありがとうございます。
 追記にて、
 神澤さんにコメント返信があります。

>神澤さん
 コメントありがとうございます。
 お久しぶりです。
 僕は同じ茄子でも漬物とてんぷらが食べれません。
 こればっかりはマヨネーズを使うわけにもいかないので(笑)。
 苦手な食べ物がある日突然食べれるようになるという、ポケモンの進化みたいな現象はときが立つとやがて訪れるので、苦手なものは苦手でいいのではないでしょうか。
 ピンポイントで茄子を食べさせられる状況もそうそうないでしょうし。
 僕ではパワーバランス的にユキにご飯を作ってくれと言えません(泣)。
 
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