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 遺志を継ぐもの

 ヒデオは腕輪とディスクと三色団子のパックを持って戻ってきた。
 腕輪とディスクをサクヤに渡しアリサと並んでサクヤの後ろからターミナルの画面を覗き込む。
 女子密集地帯特有のいい匂いが鼻腔をくすぐり鼻血が出そうになったヒデオはもっちゃもっちゃ、と団子を食べて気を逸らす。
「じゃあ、始めるわね」
 そう言ってサクヤは腕輪とディスクをターミナルにセットした。
「認証……、通ったわ。中身はレポートが一つ……リストファイルが一つ……それにプロジェクトファイルが一つ……」
「あと何かのプログラム実行ファイル……ですか?」
 画面を読みあげるサクヤにアリサが最後の一つを付け足す。
 サクヤは振り向いてヒデオの目を見つめた。
 そこにあったのは冷たい炎のような色彩を放つ瞳だった。
 数秒の沈黙の後、
「これ……、私達に見せてもよかったの?」サクヤはヒデオに訊いた。
「見ない方がよかったですか?」ヒデオは質問に質問で返答する。もっちゃもっちゃ。「あなた達には見る資格があると判断しました。不用でしたか?」
 ありがとう、とサクヤは小さく呟いた。
「じゃあ、気を取り直して上から見ていきましょう……。まずはレポートから……」
 ターミナルを操作していくサクヤ。
「やっぱり……、私にも黙ってこんなことを……」自然、ひとりごちる。

 エイジス計画を「隠れみの」として、「アーク計画」という別の計画が進められていることは、疑いようがありません。
「真の人類救済のためのプラン」とされているようですが、計画の内容など詳細は不明です。
 調査の過程で名簿らしきリストを入手しましたので、関連資料として添付します。

「アーク……計画……? あなた聞いたことある?」
「いえ……聞いたことないです。あ……そのリストファイルが……関連資料みたいですよ?」尋ねられたアリサが答える。
 ヒデオも”アーク計画”については何も知らされていなかった。
 つまり、それが……今の僕と上層部との距離。
「アーク計画に関する名簿のようだけど……。各支部の神機使い……、それにエンジニア……科学者……その親族?」
「何のための名簿かは分からないですね……。ヒデオ、分かる?」
「駄目だこれだけじゃ全然分からない」もっちゃもっちゃ。
「実行ファイルは危ないからあとにして、先にプロジェクトファイルを見ておきましょう」
「エイジス……潜入……」
「先に進めるわよ」

 やはりアーク計画の全貌をつかむためには、エイジス島を直接調査するしかないようだ。
 先日発見したエイジス島管理システムのバグを利用し、警備システムを一時的にダウンさせるプログラムを作成した。
 使用すれば、すぐに対策されるはず……、チャンスは一度きりだ。

「リンドウさんは……確証をつかむためにエイジス島に忍び込もとをしてたんですね……」
「そうみたいね……、これで……」サクヤは首だけでアリサ達の方を向いた。「色々繋がったわ……。私が次に何をすべきかもね……」
「サクヤさん……リンドウさんの遺志を継ぐんですね!」
 嬉々として話すアリサに、サクヤは正面から向かい合い、
「いいえ、違うわ。二人ともこのことは忘れて頂戴。私も忘れるから」言い聞かせるように告げる。
「え? ……どういう意味ですか?」と納得のいかない顔のアリサ。
「言葉通りの意味よ。この計画には少なくとも、この極東支部内の誰かが絡んでいる。へたに動けば……、あっという間に潰される」
(だが、そこにチャンスがある)
「そんな……それなら他の支部か、本部に緊急連絡するとか……」
 アリサは純真過ぎるとヒデオは感じた。
 そして、その正視できないほどの眩しさにヒデオは目を背ける。
 君はその”他の支部や本部の人間”も絡んでいるという可能性を考慮しないのか。
「確証もない、通信インフラも押さえられているであろうこの状況で勝ち目があると思う? このターミナルや……この部屋ですら、そいつの監視下かもしれないのよ?」
 その監視風景を想像し盛大に吹くヒデオ。
 そう、この世には美女を監視しているだけでお金がもらえるという夢のような仕事があるのだ。 
「それは……」
「だからもう忘れましょう……。きっとリンドウもそう望んでいるわ……」
「そんな……!」
 声を荒げるアリサにヒデオは冷淡に告げる。
「確たる目的があったリンドウさんが失敗してしまった以上、その目的さえ持たない僕達に何ができるって言うんだ。そもそも、アーク計画の実態も知らないのに何が確証で、何が確証でないかどうやって見分けるんだ。チャンスが一度きりしかないならじっくりと機を待つべきだよ」
 しかし、それは火に油を注ぐ行為だったのかもしれない。
「だってっ! それはそうかもしれないけど、でも……」
 アリサもそこは譲る気がないらしく懸命に言葉を紡ぐ。
 そこに水を注したのはサクヤだった。
「二人とも、ちょっと……一人にしてくれないかな……お願い」
 ヒデオは頷くとアリサと顔を見合わせ、
「……失礼します」と二人でサクヤの部屋を後にした。
 結局、アリサもサクヤもヒデオの矛盾に気づくことはできなかった。
 ヒデオならばアリサとサクヤにディスクの中身を見せればこうなることくらいすぐに分かるはずだったろうに。
 ディスクを見る資格があるという言葉は本当だった。
 アーク計画を知らないと言ったのも本当だった。
 機を待てと言ったのも本当だった。
 エイジス島に潜入するなと言わなかったのも本当だった。

 
 
 
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