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 さよならのうた

 支部長室にて、
「君を呼び出したのは他でもない。目下、最優先事項である特務をお願いしたい」
「支部長、その前に言わなければならないことがあるでしょう」
 ヒデオは支部長を見下ろしそう言った。
「……ごめんなさい。本当にごめんなさい。ギャンブルはもうしません」
 支部長はだだっ広い支部長室の床にパンツ一丁で正座、完全に反省タイムである。
 支部長の下着がブリーフなのか、トランクスなのか、ボクサーなのか、はたまたそれ以外の何かなのか、その辺りは専門家でも意見の分かれるところだが(三つ巴四つ巴の状況です)、まあそれは措いておくことにして、全ての始まりは昨夜の賭け麻雀だった。

 支部長の借金を賭けての麻雀でヒデオは圧勝した。
 圧勝したので胸を撫で下ろした支部長が、
「もう帰ろう。明日はスロットの新台入れ替えだし、早く帰って寝てしまおう」と言いだし、負けたその筋の人が辛酸を舐めた表情で台の片付けをしようかしら、としたところで、なんとヒデオは倍プッシュ宣言をしたのである。
「今勝った分を乗っけてもう一勝負しましょう」
「いや、もう帰ろう。今帰ろう。すぐ帰ろう」
 ヒデオの予想外の言葉に目が泳ぐ支部長。
 必死に帰ろうとするが、自分一人帰ったところでヒデオが勝負したなら帰る意味がないことを理解したのか、支部長は部屋の隅の方でカタカタと震えだした。
 相手のそっちの人もヒデオの胆力に気押されたのかさすがにビビりだす。
 これ以上は自分たちの手に負える範囲ではないといった感じで、
「いや、もうやめよう。今やめよう。すぐやめよう」と主張するが、ヒデオはそれを許さない。
「あなた達が持ちかけてきた勝負だ、途中でやめるとか認められるわけないでしょう」口調は丁寧だが恐ろしく冷たい顔でヒデオは言う。
 これにカチンときたのか、
「もう、プロの人呼んじゃうよ?」
「あんまり舐めるなよ、ガキ」
「そこまで言われるとはいそうですか、とはいかないなあ」
 三者三様にすごんでくるそっちの人達。
 しかし、ヒデオは柳に風といった感じで飄々としている。
 毎日命を賭けている神機使いのヒデオである。
 たかが人間に脅されたくらい何のことはない。
 その後、相手の代打ちとの死戦が続き日が開けるころには、支部長は既に燃え尽きていた。

 そして、現在に至る。
「先日、太平洋近海、エイジス島周辺に非常に特殊なアラガミのコア反応があった。非常に高度な知性を有していると思われるアラガミの討伐任務だ」パンツ一丁で椅子に座り朗々と語る支部長。
「もう服着てください。緊張感が出ません」ヒデオが呆れて言う。
「これはこれで悪くないと思うのだが」
「悪いとか悪くないとかの次元の話じゃないです」
「私は新しい世界の扉を開いてしまったのだよ」
「そんな扉は今すぐ閉めてください」
「話を戻そう。もしそのアラガミを発見したら……、速やかに、そのアラガミのコアを必ず無傷の状態で摘出し、持ち帰ってもらいたい」支部長は机の上に身を乗り出して、「この特務は、いかなる任務よりも優先される最重要項目だ」と言った。
 ヒデオの瞳が淡い赤を発色し始める。
「……………………………」
 支部長は机の上で手を組むと話を続けた。
「おそらく一人での捜索は厳しいだろう。ソーマとともに任務にあたってくれ」
 ヒデオは頷く。
「話は以上だ。……健闘を祈る」

 廃空母でシオを捜索するヒデオとソーマ。
 廃空母から見渡せる風景はヒデオの赤い目を通さずとも、十分に血のように赤かった。
 ソーマは、なあ、と珍しくヒデオに呼びかける。
「お前ならもう気付いていると思うが……、支部長が探してる特殊なコアを持ったアラガミ、ってのは、シオに間違いない。俺はずっとあのクソ親父の命令でそいつの探索を任されてきたんだ」
 ヒデオは無言でソーマの話を聞いていた。
 そして、無言で話を促した。
「だが、俺はシオを……、あの野郎に差し出すつもりはない」
 ソーマは神機を振りかざしヒデオに切っ先を突き付け、
「勘違いしないでよね。俺やシオをオモチャにして勝手なことを考えてるのが気に食わないだけなんだからね」
 久々に来たよ釘宮。
「そういえば……。最初に会った時もお前に剣を突き付けたな……。あんときのルーキーが気がつきゃリーダーかよ」
 沈みかけた太陽がソーマを照らし、ヒデオに影を落としていた。
「アイツがこの辺りにいることは間違いないが……、他のアラガミも活性化してるらしいな……」
「心配?」
「そんなことねえよ。お前こそ気を抜くなよ」
 再びシオの捜索を始めたヒデオはどこかから歌が聞こえてくるのに気づいた。
 声のする方へと歩いていくと、そこにあったのはオウガテイルの屍の山だった。
 亡骸から流れ出る体液が異臭を放っていて、ヒデオは思わず袖で鼻を押さえる。
 ソーマもヒデオの方へやってきて死んでいるオウガテイルの数に驚き辺りを見回す。
「おいっ!」
 ヒデオは頷いた。
 声が聞こえる方を、上を見上げるとシオがいた。
 そして、聞こえたのは声ではなく歌だった。
「らーららーらららーらららららーらーららららー」
「シオ?」
「あ、なんだろ……。これ……。これ……。いやだな……」
「別れの歌、だからかな。その歌は」
 なんか言ったよ、ソーマ。
 歌とか聞くんだ。
 異邦人仲間が離れていったような気分だった。
「わかれの、うた……」
「大切な人とあえなくなってしまう……。そんな事を歌ってるんだ」見上げるソーマと、
「そっか……でも、またあえたな」見下ろすシオ。
「チッ、こっちが探してやってんだろーがよ……。帰るぞ、シオ」
 なんだこの甘い空気は。
 疎外感を感じるよ。
 そのときシオが突然呻きだした。
「ううううウウウウウウ!!」
 シオの全身に回路のような文様が輝き出す。
「シオっ! ……またか!」
 シオはふらふらとした足取りで断崖の方に歩き始めた。
「……イカ、ナキャ……」
「待て! 帰って来い! シオ!」
 ソーマが取り乱し声を荒げたがその言葉は彼女には届いてはいないようだった。
 シオは今度は海へと飛び込まずその手前でがっくりと膝を折り倒れた。
「おい……どうしたんだ? おい!! クソッ! なんだか分からねえが、アナグラへ戻るぞ!」
 ヒデオは静かに頷いた。
 
 
 
 拍手してくださった方、
 ありがとうございます。
 追記にて、
 ニケさん、神澤さんにコメント返信があります。

>ニケさん
 コメントありがとうございます。
 数えられるくらいメールをもらえるのが逆に羨ましい管理人です。
 今はブログがあり、ありがたいことにコメントもいただけるようになったので、以前ほどの空白感を感じなくなってきています。
 ニケさんをはじめコメントをくださる皆様、本当にありがとうございます。
 どうやらすぐ返事を書かないのは僕だけではないようでよかったです。

>神澤さん
 コメントありがとうございます。
 一日30通ですか、いつもたくさんの方が神澤さんに伝えたい事がある、ということですね。
 バスの中で周りの人がみんな携帯をいじっていると、居心地が悪くエアメール(メールをしているふり)をする僕のような人間にとっては、すごく羨ましいです。
「思ったことをまっすぐに」は僕には多少ハードルが高いですが、これからのためにも出来るようになりたい。
 想像して笑っていただけるとはとても嬉しいです。
 今後も精進し、思い出して笑ってもらえるよう努力しよう。
 
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08/12|ゴッドイーターコメント(1)トラックバック(0)TOP↑
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From: ズマッチ * 2011/08/13 01:24 * URL * [Edit] *  top↑
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