snow of the viridian forest
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ゴッドイーターバースト boost 60
邂逅、絶望の淵で
僕が彼女と出会ったのは新しい部屋へ移った日だった。
数日前、僕はケージから出され、何本かの注射を打たれ、自分専用の神機を与えられ、初めての実戦を体験した。
作業服を着た男から旧型の神機を渡され、僕はエレベーターで地下に降り、コロッセオのような開けた場所に入れられる。
僕が入ったと同時に背後で檻が下りて戻ることができなくなってしまった。
向かい側の檻が上がり、小型のアラガミが三体姿を現した。
そして、向かい側の檻も下りる。
これで僕はアラガミと同じ密室に閉じ込められたことになる。
コロッセオの縁には前方にせり出したステージがあり、そのステージの中央に立った老人が、
「プロトタイプ、あれらを始末しろ。お前が負ければどうなるか分かっているな?」と皮肉げに言った。
勿論、ここでの敗北は僕の死亡を意味し、僕が死ねばケージにいる仲間が皆殺しにされる、ということだ。
この戦い負けるわけにはいかない。
「博士、いきなり実戦というのは早いのではないでしょうか? 彼はまだ八歳ですよ。いくらなんでも早過ぎます」
若い女性の研究者が博士と呼ばれた老人に食いさがっていた。
「サンプルに年齢は関係なかろう」
「ですが、博士……」
なおも反論しようとする女性を老人は切り捨てるように言う。
「君は君の仕事をしたまえ」
「……………………」
「それにどの道この程度で死ぬようでは先はないよ」
眼鏡をかけた背の高い白衣の男が、
「さあ、退室したまえ」彼女を顎でしゃくった。
女性が出ていってしまうと白衣の男は、
「博士、彼は貴重なベースですがよろしいのですか?」と老人に囁く。
「構わんよ。負けるわけがない。私が作った作品だぞ」
僕にはその小さな呟きを聞き取ることができた。
神機は僕には大き過ぎたが、そんなことを言っても仕方がない。
僕に与えられた武器はこれしかない。
ならばこれを使って戦うしかないのだ。
僕はショートブレードの神機を構えるが、一瞬だけ考えて構えを解く。
神機の中でも最軽量で最速なショートブレードでわざわざ敵を迎え撃つ必要もない。
僕に敵の攻撃を受けとめるだけの筋力がないことはとっくの昔に承知している。
こちらから攻めなければ勝機はない。
僕は上体を下げ地を這うように敵へと突撃する。
意外にも敵アラガミの動きは緩慢だった。
僕に腕を振り下ろしてくる敵の攻撃をステップだけでかわし、その腕に乗り回転し遠心力を利用した薙ぎで敵の首を飛ばす。
まずは一体。
こちらにニードルを飛ばしてくる残りの二体に素早く反応し、跳躍し二体の真ん中に着地する。
敵の爪と牙を軽く避け、着地の反動を利用しながら正面の敵に斬撃の雨を降らせる。
これで二体。
そして、前を向いたまま僕は神機を後ろに引いた。
背後から噛みつこうとしていた最後の一体の脳幹を僕の剣が貫いた。
それは圧倒的な光景だった。
たった八歳の子供が三体ものアラガミを完全に手玉に取ったのである。
「……ここまでとは……。いくら相手がオウガテイルだといっても、これほどまでとは……」白衣の男が言う。
「ここからが本番だよ」老人がおかしそうに笑った。
老人以外は固唾を呑むしかなかった。
僕は敵を倒したことを確認するとぐしゃり、と崩れ落ちた。
視界に血だまりが広がっていく。
鼻血が止まらず、咳に血が混じって両腕が痙攣している。
意識を維持できない。
僕は溶けるように眠りに就いた。
目が覚めるとそこは牢獄ではなかった。
「ここは……」
とっさに起き上がろうとすると右腕に激痛が走り、鼻血が出た。
「ああ、無理に動いちゃだめよ。外傷がなくても中身が酷いダメージなんだから」
「ここは……? あなたは誰ですか?」
「ここは特別研究棟よ。私はアネット、よろしくね」
「どうして僕はここにいるんでしょう? ケージに戻されるのではないのですか?」
「そうね……、あなたがここにいるのは重体だったから」
「おかしいですね。とても僕達サンプルに対する処置とは思えません。もっと別の理由がある。あの戦闘は何かのテストだった。それをクリアしたから、まあ、倒したといってもこの様なんですから何の自慢にもなりませんが」
僕は敵愾心を抱きつつついっと目を細める。
「やっぱり急には信じてはもらえないか……」
アネットさんは寂しそうにそう言った。
「私達だって酷いことしてるもんね」
ん……、この声、どこかで聞いたことがあると思っていたら、僕が戦うのに反対していた彼女か。
まあ、常識的に考えるなら、八歳のガキが使い方もろくに教わっていないのに突然神機渡されて、アラガミと戦えとか無茶苦茶な話である(ちなみにソーマは十二歳でデビュー)。
「……みんなは、みんなは無事なんですか?」
「その心配はないわ。博士は実験は成功だって言ってたから。そんなことより、あなたは自分の身体の心配をしなさい」
「そんなことじゃないですよ……。僕にとってはそれが、全てだ」
「いいからっ!」
アネットさんは強引に僕をベッドに寝かしつけた。
「だったら、尚更だよ」
僕はアネットさんに貸してもらったタオルで鼻を押さえながら、
「こんな戦いがこれからもあるということですか?」
うん、と彼女は頷いた。
「順番に話すよ……。私が教えられること、知ってること全部話すよ。それを聞いてから私を信じられるかどうか決めて欲しい」
「分かりました」
「なるほど、大体分かりました」と僕は言った。
アネットさんの話によると、このフェンリル東欧支部はアラガミ化の制御とオラクル細胞の研究をしているとのことだった。
それは僕の予想と大体当たっていた。
研究の山場であるベースの作成に力を入れていたこの支部は、ついにベースを作り上げることに成功した。
そのベースが僕なわけだが。
ベースさえ作ってしまえばその後の開発はそれほど難しくはないとのことだった。
だが、それならベースは一人では足りない。
もっとたくさん必要だ。
ベースを複数作るために老人はどのような手に出てくるか。
僕を骨子としてベースを複製するのか、他の仲間達をベースとして仕立て上げるのか、そのどちらの方法を老人は取って来るのか。
僕に対するカードとして仲間は全員は殺されないだろうが、それも確実ではないだろうし、後者の場合でも相当な数の犠牲が出るだろう。
「分かりました」と僕はもう一度言った。「”あなたは”嘘を言っていない。信じましょう」
「よかった。でも一つだけ分かって欲しい。私達だって好きでこんなことしてるわけじゃないの。人類をアラガミの脅威から守るために、やっているのよ」
「あなたがそれを言っても偽善にしか聞こえませんね。そーいうのは加害者が言っても意味ないんですよ」僕は軽蔑をあらわにする。
「…………………………」
「…………………………」
「……知ってるよ」
アネットさんは俯いて消え入りそうな声でそう言った。
拍手してくださる方、
ありがとうございます。
追記にて、
HIROKIさんにコメント返信があります。
>HIROKIさん
コメントありがとうございます。
最近記事がリアル過ぎる気がしますが、楽しんでいただけているようでよかったです。
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