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 それでも剣を

「それでもお前は神機使いであることを選ぶのか?」と青年は言う。
「それでも僕は神機使いであることを選ぶんだ」と少年は言う。
「何のために?」
「みんなのために」
 なんとはない会話。
 それはどこにでもあるような自然で、それはどこにもないような無機質な問答だった。
 
 僕と白い人はフェンリル東欧支部を後にしてから、徒歩で別の支部を目指した。
 潰した支部から列車に乗った日には即行で足が着いてしまいかねないので、僕が徒歩での移動を提案したのである。
 白い人は、
「大丈夫だって、バレたとしても俺とやり合おうって奴はいないから」
 とか言っていたが、彼も戦闘能力が高いだけで普通の人間だ。
 毒でも盛られれば死ぬことに変わりはない。
 そうやって野宿をしながら、何度目かの夜のときだった。
 僕が焚き火に薪をくべていると、のそのそと彼がテントから出てきた。
「交代までまだ時間がありますよ」
 彼は頭を掻きながら、
「なんだ、その……、壁っていうのか。その、距離がおかしい」
「何がおかしいというのですか?」
「そう、それだ。お前と他人との距離のことだな」
「それが何か?」
「そうだな、坊主、名前は何ていうんだ?」
「川村……ヒデオですが。……ああ、そういうことですか。」
 僕は彼の言葉の意味を理解した。
「そういうことならお訊きします。おじさんの名前は?」
「ばかっ、俺はまだそんな歳じゃねえよ。お前から見たら似たようなもんかもしれないけど。ま、名前つーか呼び名かな。ファウストって呼ばれてるな」
「本名ではないのですか?」
「本名は忘れたよ」
 僕はぱちぱちと爆ぜる炎をぼんやりと見つめながら、
「そうですか」と言った。
 ファウストさんは僕の隣に座ると水筒から注いだコーヒーをすすった。
「お前は……、ヒデオはこれからどうするするつもりなんだ?」
「そうですね……。僕は神機使いとして生計を立てていこうと考えています」
「……それでいいのか? やっと他の選択肢を選べるようになったのに、今までと同じ道を選ぶのか?」
「はい。僕には他にできることがありませんから」
 僕は笑ったけれど、きっとその笑顔は引きつっていただろう。
「お前なら大抵のものは手に入れられると俺は思うんだけどな」ファウストさんは不思議そうに言う。
「そうですね、少し言葉が足りませんでした。はっきり言うなら、僕がみんなのために他にできることがないからです」
「みんなって?」
「死んでいった仲間達のことです。他に誰がいますか」
 ファウストさんの表情が一瞬だけ凍りついたような気がしたが、それは気のせいだったかもしれない。
 焚火の炎が陰影ををランダムに歪めているのだ。
「…………、そっか。なら俺が教えてやるよ。アラガミとの戦い方を」
「それは心強いですね。最強の神機使いと評せられる白い悪魔から戦術を享受できるのは光栄だ」
 その日からフリーランスの神機使いのファウストさんと僕との旅が始まった。
 そして、それは僕が十歳になるまでの二年間に亘った。
 十歳になった僕はフェンリル極東支部の神機使いの養成施設に入所した。
 去り際に彼から言われたのは、
「決して本気を出すな」という言葉だった。
 彼が言うには強すぎる力は利用されるだけだという理由だったが、僕にははなから”他人”のために本気で戦う気はなかった。
 そして、別れ際に彼から貰ったのは、
「”みんな”のために絶対に死ぬな」という台詞だった。
 どうして戦うのか、そう、死んでしまっては”みんな” のために何もできなくなる。
 本当、よく僕を見てるよなあ。

 それでも僕は剣を取る。
 養成施設に入った五年後に、僕はツバキさんと出会うことになる。

 
 
 
 拍手してくださる方、
 ありがとうございます。
 追記にて、
 motochさん、HIROKIさんにコメント返信があります。

>motochさん
 コメントありがとうございます。
 楽しんでいただけているようでよかったです。
 存在感があるのは牛の絵以外を参考にしたサンプルを真似ているからかもしれません。
 全体のバランスとかプロの人仕事がうま過ぎます。

>HIROKIさん
 コメントありがとうございます。
 パペットマペットは懐かしいですね。
 あの人は今何をしているのだろう。
 
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