上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--/--|スポンサー広告||TOP↑
 死闘の果て

 地表を焼き払う光にも風を捕えることはできない。
 地上を薙ぎ払う刃にも風を捕えることはできない。
 ヒデオは舞うように戦い、踊るように闘う。
 それはどこかで見たことがある光景だった。
 その演舞は最強の神機使いと謳われる白い悪魔と同一のもので、ヒデオはそれを完璧に再現していた。
 人の限界を超越した動きをアラガミ化した肉体が可能にしたのだ。
 開き始めた力の差に支部長は苛立ち右の拳を振り下ろすが、ヒデオはそれを左腕一本で受け止めた。
 圧倒的体格差をもってして起こった現実に支部長は息を呑む。
「……な、んだと……」
 しかし、実際はそうではない。
 ぱっと見そう見えるだけで、事実はその逆だった。
 ヒデオの目から血の涙が頬を伝い、破けた上衣の下には植物が根を張るようにオラクル細胞による浸食された身体が見て取れ、流血が止まらない。
 ヒデオは外からではなく内からのダメージに満身創痍だった。
 それでも、ヒデオは不敵に笑い自らの優位を飾って見せる。
 お互いそろそろ限界か。
「そろそろ終わりにさせてもらいますよ」
 そう言ってヒデオが神機を構え飛びかかろうとした時だった。
「――――待って!」
 アリサが二人の真ん中に立ちはだかったのだ。
「どうして君がここにいるっ!」ヒデオが怒声を浴びせる。
「支部長も、待ってください。ヒデオはあなたを助けるために戦っているんですよ」アリサは支部長に向けてかぶりを振る。
 そして、サカキから教えられた真実を支部長に語った。
「アリサ、そこをどけ。そのままじゃ君まで汚染される」
 アリサの登場に一瞬だけ気を取られヒデオに生じた隙を支部長は見逃さなかった。
 支部長は腕を振り上げ、振り下ろした。
 人間を殺すにはそれだけの労力があれば十分だ、とでも言わんばかりに。
 だけれど、ヒデオもみすみすそんなことはさせはしない。
 とっさにアリサの前に回り込み神機で一撃を受け止めるが、耐えきれず乾いた音を立て左肩の骨が砕ける。
「……う、……」とヒデオの口から苦悶の吐息が漏れる。
「――――――――」
 そのとき支部長が何かを呟いた。
「――――君だって結局は誰かを助けるために自分を犠牲にするんじゃないか。今の一撃、アリサ君を見捨てれば私を殺すだけの時間があったはずだ。それにも関わらず君は一切の迷いなく彼女を守ることを選んだ」
 アリサは身を乗り出すと、 
「そうです。私は博士からソーマの話を聞きました。ヒデオだってあなたと同じなんです。人の未来のために自らの犠牲を省みない。私達は戦わなくてもいい。話し合いで分かりあえるはずです」
 だが、そのアリサの言葉がヒデオの表情に暗い陰を落とさせた。
「違うんだよ。僕は支部長とは違うんだ。僕にとって、その他大勢なんてどうでもいいんだ。たまたまやってたことがみんなの役に立っただけ。僕が戦うのは人類をアラガミの脅威から救うためじゃない。僕は……、僕はね、仲間達の命が狂った老人の道楽のためでなく人類の未来のために必要な犠牲だったということを証明したかっただけだ。いや……、それさえ偽善だ。僕はただ自分が味わってきた地獄が世界を救うために必要だったのだと思いたいだけだ。僕は支部長のように、自分を犠牲にすることなんて、できはしない」
 血を吐くように言葉を紡ぐヒデオは酷く儚そうだった。
 少しでも目をそらしたら消えてしまいそうなぐらい淡く脆そうだった。
 にもかかわらず、そのヒデオをアリサは思い切り殴りつけた。
「あなたの今の仲間は私達でしょう。仲間を失うことの辛さを知ってるあなたがそれを私達に強いるんですか。あなたがいなくなった後に私達がどんな気分になるか分かってるくせにそんな我がままを言うんですか」
 それは、誰よりもヒデオを思っての怒り。
「みんなのために絶対に死んじゃ駄目です。それがみんなの願いなんだから」
 アリサが言ったのはいつかあの人、”自分を永遠の地獄から救ってくれた人”が言っていた言葉だった。
 光を失っていたヒデオの瞳に再び紅蓮の炎が灯る。
 助けたい。
 彼ならきっと、やり直せるはずだから。
 一番最初のボタンを掛け間違えて、全部のボタンを掛け間違えた僕とは違うから。
「だから、僕は支部長を倒す。倒してみせる」
 ヒデオは残された全ての力を込めた一撃で支部長を打ち倒した。
 そして、自らも地に伏した。
 ぼんやりとそのやり取りを見ていたアリサははっとすると、注射器をヒデオに渡した。
 最初ヒデオはアリサが近付くことを拒んだが、拒絶するだけの力もなかったので結局はアリサから素直に受け取った。
 
 
 

 拍手してくださる方、
 ありがとうございます。
 
スポンサーサイト

10/16|ゴッドイーターコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
この記事にコメント
名前:
コメントタイトル:
メールアドレス:
URL:
コメント:

パスワード:
管理人だけに表示:
管理者にだけ表示を許可
この記事にトラックバック
FC2カウンター
現在の閲覧者数
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
ドラクエ風xxxがあがった!
flash boreal kiss
プロフィール

トキワ

Author:トキワ
FC2ブログへようこそ!
にほんブログ村 その他日記ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

フリーエリア


ダンジョンRPG検定

最新記事
最新コメント
仁王立ちだZE★霧雨魔理沙
【東方】博麗ちゃんの賽銭箱
十六夜咲夜の大きな懐中時計
カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
インなんとか
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード
最新トラックバック
地球の名言

presented by 地球の名言
黒メイド時計
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。